News Release

血液がんはいかにして免疫系を出し抜くのか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、骨髄増殖性腫瘍(MPN)と呼ばれる一部の血液がんが、いかにして免疫系を回避するかを発見した。彼らの所見は、MPNのサブセットが、PD-1/PD-L1経路を特異的に標的とする免疫チェックポイント阻害薬による治療に感受性である可能性を示している。PD-1/PD-L1経路は、T細胞が他の細胞種を攻撃することを阻止する「オフスイッチ」として通常機能するシグナル伝達ネットワークであり、現在市販されている阻害薬にはKeytruda™(一般名ペムブロリズマブ、本邦承認済)およびTecentriq™(一般名atezolizumab、本邦未承認)などがある。ある種のがんはPD-1/PD-L1経路を乗っ取って、T細胞が悪性細胞を殺滅することを阻止するが、MPN(骨髄が過剰な赤血球、白血球または血小板を産生する一連の疾患)が同様のメカニズムによって免疫系を回避するかどうかは明らかでなかった。多くのMPN患者ではJAK2と呼ばれるシグナル伝達蛋白質の異常な活性化が認められることから、Alessandro Prestipinoらはこの変異蛋白質がPD-L1産生の活性化を促進することを明らかにし、JAK2が有望な治療標的となる可能性を示した。MPNである真性赤血球増加症の患者1例が、幹細胞移植を受けた後に再発したが、抗PD-1チェックポイント阻害薬による治療を受けて症状が改善した。抗PD-1治療はMPNマウスでも効果が認められた。興味深いこととして、健康ドナー由来のT細胞をJAK2変異細胞と一緒に培養したところ、増殖およびエネルギー産生のための遺伝子発現が低下した。この結果は、JAK2変異が免疫細胞疲弊を引き起こすという観察結果と一致している。Prestipinoらはさらに、変異JAK2と共働してPD-L1を亢進させる特異的な蛋白質を突き止めた。著者らは、他のがんにおいても、がんを引き起こす変異は同様の免疫回避メカニズムを利用していると考えている。

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