News Release

ボノボのコミュニケーションは人間の言語と構成が似ている

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、野生のボノボ ―― 最も人間に近縁な現生動物 ―― は複雑な構成の意味構造に組み立てた鳴き声でコミュニケーションをとっており、その意味構造は人間の言語の決定的な特徴に似ているという。この研究結果は、人間言語の唯一性についての長年の考え方に異議を唱えるとともに、コミュニケーションの進化の解明に向けた新たな方法を提示している。人間言語の独特な特徴は、それぞれ異なる要素を組み合わせてより複雑で意味深い構造を形成できることである。この原理は構成性として知られ、これによって形態素(意味のある言語の最小単位)を組み合わせて言葉に、言葉を文章にすることができる。そして全体の意味は構成要素とその並びで決まる。構成性は自明と非自明の2つの形式を取りうる。自明な構成性の場合、単語はそれぞれ独立した意味を維持する。非自明な構成性の場合、より複雑で微妙な違いのある関係を伴い、意味はそこに含まれる単語を単純かつ直接的に合算したものではない。構成性は人間言語に特有のものではないと考えらており、鳥類や霊長類の研究で、一部の動物には意味のある発声を組み合わせて自明な構成構造を作る能力があることが実証されている。しかし、今のところ、動物がコミュニケーションの際に非自明な構成性を使うことを示す直接的なエビデンスはない。

 

Mélissa Berthetらは今回、野生のボノボ(Pan paniscus)が音声コミュニケーションで非自明な構成性を使うことを示す強力な経験的エビデンスを報告している。彼らは、ボノボの鳴き声とその組み合わせの録音700件を分析し、それぞれの発声に関連する300以上の文脈的特徴を記録した。そして、分布意味論 - 言葉と言葉の意味の類似点を測定する言語学的枠組み - を基にした方法を用いてこれらの文脈的特徴を分析することで、個々のボノボの発声の意味を推測し、また、それらの関係も定量化した。続いて、ボノボの鳴き声の組み合わせが構成原理に従っているかどうかを評価するために、人間のコミュニケーションにおける構成性の特定に以前使用された多段階方法を適用した。その結果、ボノボの鳴き声は4つの構成構造に統合され、そのうち3つは非自明な構成性を示すことを発見した。このことは、ボノボのコミュニケーションはこれまで認識されていた以上に人間の言語と構造が似ていることを示唆している。


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