News Release

地震探査技術により、2023年の豪雨がロサンゼルス大都市圏の帯水層に及ぼした影響の大きさが明らかに

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

この地域では、2023年初頭に記録的な豪雨に見舞われたにもかかわらず、南カリフォルニアの地下水貯留量はごくわずかしか補充されていない、と研究者らは報告している。ロサンゼルス大都市圏全域の地震ノイズデータを利用した今回の研究により、同州の危機的な地下水貯留量について、モニタリングと管理の方法を緊急に改善する必要性が浮き彫りになった。カリフォルニア州では、深刻な干ばつが20年間続いた後、2023年に水に関する気象が急激に変化した。2022年末から2023年初頭にかけて16本の大気の川が連続発生し、その後8月にはハリケーン「ヒラリー」による豪雨に見舞われた結果、記録的な多雨となったのである。ロサンゼルス大都市圏では、降雨量がそれまでの標準値の300%に達した。猛烈な降水を記録したこの期間に、カリフォルニア州の地表貯水は急速に補充されて、それまでの平均値の128%になったが、地下水がどの程度回復したかは依然として不明だった。干ばつの影響を評価し、持続可能な水管理を実現するためには、地下水貯留量の変化を正確に定量化することが不可欠である。しかし、特に資源計画に欠かせない流域規模においては、依然として複雑な課題が残っている。Shujuan Maoらはロサンゼルス地域に注目し、地震ノイズ解析を行えば、地下水貯留量の変化を高精度で効果的に追跡できることを実証した。Maoらは、2003~2023年に既存の地震計ネットワークから得られた環境場における受動的な干渉データを用いて、地震波速度の変動を調べた。こうした変動は、地下水の涵養に起因する地表下の水分布の変化を反映している。地域地震を利用したハイドログラフによって、2023年の豪雨によって補充された地下水は、過去20年間に喪失した地下水のわずか約25%だったことが判明し、長期にわたり大幅に枯渇した深部帯水層は、10年規模ではゆるやかにしか回復しないことが明らかになった。関連するPerspectiveでは、Taka’aki Taira(平貴昭)とRoland Bürgmannが、「Maoらの地震イメージング技術を、既存の方法(現場での井戸モニタリングや、衛星または航空機を利用したリモートセンシング観測など)と統合することで、地下水の包括的な追跡が可能になるだろう」と述べている。「そうすれば、次世代のために持続可能な給水を維持するのに役立つはずである。」


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