Feature Story | 3-Feb-2025

科学から社会貢献まで-沖縄の子どもたちを支援するOIST学生のレガシー

湯川幸江さんは、OISTの寄付活動を次の世代に渡していきたいと考えています。

Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University

忙しい大学生活の合間を縫って、地域の子どもたちを支援し、みなで心温まるホリデーシーズンを過ごした湯川幸江さんをご紹介します。 

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の博士課程学生である湯川さんは、4年前から沖縄の恵まれない子どもたちのためにクリスマス募金活動を行ってきました。OISTの免疫シグナルユニットに所属していた湯川さんは、1年次のカリキュラムの一環として子どもたちに科学の面白さを伝えるアウトリーチ活動に参加したことがきっかけで、地域の福祉活動に関わるようになりました。 

「沖縄の経済的な課題や子どもの貧困問題について学ぶ中で、沖縄では、歴史的な背景、中でも戦争の影響により、国内の他の地域と比べてそうした問題がより深刻な状況にあることを知りました。そこで、何か私にできることはないかという思いを抱いたのです」と湯川さんは語ります。 

大学でのアウトリーチ活動を毎年恒例の寄付に変える  

当初、湯川さんは博士課程のプログラムの一環として、名護市の「こども食堂」で科学実験の講座を始め、約7か月間、毎週講座を行いました。こども食堂はボランティアによって運営され、低所得世帯の子どもたちに無料で食事や支援を提供する施設です。博士課程の研究と並行して毎週活動を続けるのは難しいと感じた湯川さんは、クリスマス募金プロジェクトを毎年恒例の取り組みとして立ち上げました。 

このプロジェクトは、湯川さんが個人的に子どもたちのために文房具を購入したことから始まり、次第に発展していきました。その後、OISTチャイルドディベロップメントセンターの園長であるジュリア・ナブホズさんの協力を得て、「エンジェルツリー」プロジェクトとしてさらに拡大しました。エンジェルツリーでは、OISTのメンバーが特定の子どもたちとペアを組み、子どもたちの好みやニーズに合ったプレゼントを購入するようになりました。 

2024年には、湯川さんは寄付金が教育目的に確実に活用されるよう、図書カードのプレゼントに切り替え、皆に同じ額の図書カードを贈ることで、子どもたちが自分で本を選べるようにしました。また、OISTの他のメンバーにも、OISTトンネルギャラリーの受付付近に飾られたクリスマスツリーに、子どもたちへのメッセージを記したクリスマスカードを飾る機会を提供しました。 

湯川さんにとって卒業前の最後となる2024年のクリスマス寄付プロジェクトは、OISTの教職員や学生、その家族たちから厚い支援を受け、想定を上回る成果を上げました。当初は、さくら教室(旧:名護こども食堂)に通う子どもたち53人に500円分の図書カードとクリスマスカードを贈る予定でしたが、1000円分の図書カードに変更し、さらに教室の活動を支援するために3万円の寄付も追加されました。図書カードとプレゼントは、さくら教室のクリスマスパーティーで子どもたちに手渡されました。

プロジェクトを牽引する新たな人材を求めて 

湯川さんは、こども食堂に通う子どもたちの多くが、経済的な困難だけでなく、社会性や発達に関する問題など、通常の学校生活を送る上で支障となるさまざまな課題を抱えていると言います。そして、慈善寄付は重要であり、OISTの専門知識がこうした根本的な問題の理解と解決に貢献できる可能性があると信じていると語ります。 

湯川さんは、このプロジェクトを運営する中で、レクリエーションサービスセクションのスタッフや、「沖縄の福祉・経済・リソースを促進する会(POWERクラブ)」のメンバー、警備員、学生ボランティアなど、学内のさまざまな方々から多くの支援を受けてきました。特に、ジュリア・ナブホズさんがOISTのリーダー層に彼女を繋げてくれたおかげで、この取り組みが学内で認められ、持続可能なものとなったと語ります。 

OISTを卒業するにあたり、湯川さんは、このクリスマスツリープロジェクトが今後も継続し、学内で地域貢献の精神がさらに育まれることを願っています。「日本では寄付文化が根付いていないのが現状ですが、OISTの国際的な環境は、このようなプロジェクトを立ち上げ、発展させる機会を提供してくれます。OISTが科学的研究と地域福祉を融合させるモデルとなり、日本社会全体に良い影響を与えることを期待しています。このプロジェクトが継続し、発展していくことを願っています。」 

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