30年以上にわたる研究を含む新しいメタ分析によると、気候変動によって地球規模で絶滅リスクが高まっており、絶滅の危機に瀕する種が1.3℃の気温上昇では1.6%に、5.4℃の気温上昇では29.7%になるという。気候変動によって生態系および生物多様性が地球規模で様変わりしつつあり、種分布、種間相互関係、そして個体群動態が変化している。適応する種や、変化する気候を追って移動する種がいる一方で、個体数の減少や分布域の縮小、絶滅の危機に直面している種もいる。最近行われた地球規模の生物多様性評価では、100万種以上が絶滅の危機にあると予測しているが、こうした予測に対して気候変動が具体的にどう関与しているかは依然として不明である。効果的な保護活動を行って生物多様性を守るには、地球規模でリスクを理解することが必要だが、そのためには多くのデータセットを包括的に統合しなければならない。気候変動に起因する絶滅を定量的に推定するため、Mark Urbanは、既知のほとんどの種を対象にした485件の研究から、550万以上の個別予測を取り入れた形式的メタ分析を実施した。著者の分析はこれまでの評価を大きく前進させたものであり、含まれる研究数を3倍にし、気候変動に対する種の感受性と適応性を考慮した高度なモデリング手法を活用している。その研究結果によると、現在の地球の気温は産業革命前と比べて1.3℃上回っており、1.6%の種に絶滅のおそれがあるという。気温上昇がパリ協定の目標である1.5℃に達すれば、絶滅リスクは増加して1.8%になり、2.0℃に達すれば2.7%になる。現在の国際的な排出目標のままでは2.7℃上昇すると予測され、20種に1種が絶滅の危機に瀕する。これを超えると、絶滅リスクは急激に高まり、4.3℃で14.9%、5.4℃で29.7%になる。両生類、山や島や淡水の生態系に生息する種、そして南米、オーストラリア、ニュージーランドに生息する種が最大の脅威に直面している。
Journal
Science
Article Title
Climate change extinctions
Article Publication Date
6-Dec-2024