News Release

情動伝染はマウスにおいてセロトニン放出によりレジリエンスを促進する

Summary author: Becky Ham

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

他のマウスの体験を短時間目撃した「傍観者」マウスは、そうでないマウスと比べて、自らが苦痛を受ける体験に直面しても抑うつ行動を示す徴候が認められることが少なかった。Sarah Mondoloniらの新たな研究によれば、傍観者マウスが経験した負の情動伝染は、抑うつ様状態に対するレジリエンス(抵抗力)を高めるという。Mondoloniらは、これらのマウスにおけるレジリエンスには、外側手綱核と呼ばれる脳領域におけるセロトニン放出の増加が必要であることを実証している。「これらの所見は、ヒトの場合と同様、段階的な心的外傷の経験がレジリエンスを高め得ることができ、個体が将来の困難に対処(コーピング)できるようになる、という説を支持している」と、著者らは記している。著者らはまた、今回の所見が、抑うつ(うつ病)に関わる重要なニューロン回路に関する現在のモデルを更新する可能性があるとも指摘している。傍観者マウスにおける負の情動伝染は、自らがショックを経験する前に、実験ケージ内のマウスが同じ軽度のショックを肢に受けるのを目撃した場合に成立する。著者らは、傍観者におけるレジリエンスの発生には、セロトニンの放出が、外側手綱核におけるニューロン発火を抑制することが一因となっていると示唆している。このようなタイプのニューロン活動亢進は、マウスにおける抑うつ行動の背景となっている。関連するPerspectiveでMartin MetzgerとJose Donato Jr.は、今回の所見が「大うつ病、心的外傷後ストレス障害および依存症の治療に組み込まれるべき大きな意義を有する可能性がある」と述べている。


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