News Release

光吸収色素が生きたマウスを一時的に透明化

Summary author: Becky Ham

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

光を強く吸収する一般的な食用色素を生きたマウスに局所的に塗布することで、Zihao Ouらはマウスの組織を透明化し、頭皮の血管や、腹部の皮下にある臓器の動き、さらに筋肉の小さな収縮単位が動いている様子を見ることに成功した。生きた動物で光透過性を達成できた背景には興味深い物理現象がある。光を強く吸収する色素分子が、通常なら光を相当に散乱する性質をもつ媒質の光透過性を高めるのだ。この光の散乱は、組織の水溶性部分は屈折率が低く、タンパク質および脂肪をベースとする部分は屈折率が高いために起こる。組織透明化の典型的な方法としては、タンパク質と脂肪の除去などの処理を含むものがあるが、生きた動物には使えない。Ouらは、タートラジンという一般的な食用色素(水に溶いて使用。米国での別名:FD&C Yellow 5、日本での別名:食用黄色4号)を局所的に塗布すると、これが近紫外領域および青色領域のスペクトル光を吸収し、それにより組織の水溶性部分の屈折率が変化して、近傍の高屈折率物質の屈折率とよりよく一致するようになることを見出した。これにより、吸収されない領域のスペクトル、すなわち赤色・橙色領域の光が組織のより深部まで透過できる。結果として、一時的な透明化効果が得られるのだが、軽く洗うだけで元に戻すことができ、透明性を高めるために用いられる他の方法とは違って生きている動物に害を及ぼさない。関連するPerspectiveでは、Christopher RowlandsとJon Goreckiが、イメージングにおけるこの技術の将来性について論じている。


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