細菌が自らを守る驚くべき方法が明らかになった。細菌がウイルスに感染したとき、RNAからDNAに遺伝情報をコピーする細菌の酵素により、細胞の成長を止めるのに役立つタンパク質産物の遺伝子が合成される。これにより、近隣の細菌集団内でのウイルスのさらなる拡散が防止されるのである。この結果は、今回発見された遺伝子のような他の「隠れた」遺伝子が、さまざまな生物環境でも発見される可能性があることを示している。細菌は多様な免疫系を使ってウイルス感染から身を守っている。その中には外来DNAを標的にして分解するものもあれば、防御関連逆転写酵素(DRT)システムなどのDNA合成を利用するものもある。しかし、後者のアプローチがどのようにして抗ウイルス防御につながるのか(生成されるDNA産物を用いる場合も含めて)は、ほとんどわかっていない。Stephen Tangらは、細菌K. pneumoniaeのDRTシステムに注目し、K. pneumoniaeの細胞がファージに感染すると、DRT2逆転写酵素がRNAテンプレートを使用して新しい遺伝子を合成することを発見した。Tangらはこの遺伝子に「neo」と名付けた。Tangらは質量分析法を使用して、ファージ感染細胞に含まれるNeoペプチドを検出した。このペプチドが存在すると細胞増殖が阻止され、ウイルスの拡散が制限されたとTangらは述べている。「細胞の成長を急速に止め、プログラムされた休眠状態を誘導することで免疫系のエフェクターアームとして機能し、より大きな細菌集団をファージの拡散から守るのは、Neoタンパク質だとわれわれは考えている」とTangらは述べている。
Journal
Science
Article Title
De novo gene synthesis by an antiviral reverse transcriptase
Article Publication Date
8-Aug-2024