News Release

人間活動が原因の温暖化により降水量の変動が増大している

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、人為的な気候温暖化によって、地球の多くの地域で降水量の変動が増大しており、この傾向が顕著にみられる地域がいくつかあるという。こうした影響はヨーロッパ、オーストラリア、北米東部で特に顕著であり、主に大気湿潤度の増加と大気循環の10年スケール変動によって引き起こされていると、本論文の著者らは述べている。気候が温暖化すると、大気の保水能力が高まることで、極端な降水イベントの振れ幅が大きくなり、雨季と乾季の差が大きくなる。このように降水量の変動が増幅すれば、人間社会と生態系に深刻な影響が及ぶことになり、天気・気候予測だけでなく、適応計画やレジリエンス計画にも難題が突き付けられる。多くの地球気候モデルでは、大気中水分量の増加と大規模大気循環の弱体化のせいで、特に湿潤地域において降水量の変動が増大すると予測されているが、この現象は予測するよりも観測する方がはるかに難しい。そのため、降水量の変動の増大がすでに観測結果に現れているかどうかは、依然として明らかになっていない。こうした不確実性に対処するため、Wenxia Zhangらは、1900~2020年における日降水量の観測結果について、5つの世界規模のデータセットと8つの地域規模のデータセットを利用した。Zhangらの報告によると、過去1世紀にわたって、降水量の変動はさまざまな時間スケールと地域で系統的に増幅しており、その主な要因は人為的な温暖化による大気中水分量の増加であるという。この研究結果によれば、陸地部分の約75%で降水量の変動が増幅し、世界全体では1日あたりの変動が10年ごとに1.2%増加している。著者らは、こうした降水量の変動が「インフラ、危機管理、農業、生態系機能、経済発展の気候レジリエンスにとって脅威となっている」と指摘している。


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