東京大学 大学院工学系研究科 立川 冴子 大学院生(日本学術振興会特別研究員)(研究当時)、同大学 生産技術研究所 ホセ オルドネス 国際研究員、ロラン ジャラベール 国際研究員、セバスチャン ヴォルツ 国際研究員、野村 政宏 教授らの研究グループは、シリコン膜の表面をわずかに酸化させるだけで、プランクの熱放射則(注1)で決まるとされていた熱放射を倍増させることに成功しました。そして、この熱放射の増強に表面フォノンポラリトンが寄与したことを理論計算によって明らかにしました。この成果は、適切な半導体構造を設計して表面フォノンポラリトンを利用することにより、誘電体膜を数十ナノメートルまで薄くしないとプランクの熱放射則を上回る熱輻射は得られないという従来の定説を覆し、丈夫で扱いやすい支持構造を有した半導体からでも、空間への放熱をより効率的に行うことができることを示しています。今後、排熱を課題とする電子機器の熱管理や輻射ヒーター、宇宙空間での放熱などへの幅広い応用が期待できます。
本研究は、フランス国立科学研究センターと共同で行われました。
Journal
Physical Review Letters
Article Title
Enhanced Far-field Thermal Radiation through a Polaritonic Waveguide
Article Publication Date
3-May-2024