News Release

サブパーセクスケールで超大質量ブラックホールに質量供給する高密度ガス流入を観測

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

コンパス座銀河 ―― 天の川銀河に最も近い有名な銀河の1つにもかかわらず、研究はあまり進んでいない ―― の新たな電波望遠鏡観測で、この銀河の中心の超大質量ブラックホールへの分子ガス供給の様子が鮮明に描き出された。この研究成果によって初めて、サブパーセクスケールでの活動銀河核(AGN)の質量降着とフィードバックについて、空間分解された確かなエビデンスが提示された。大半の銀河にはその中心に超大質量ブラックホール(SMBH)があり、SMBHは周囲の銀河からの質量降着によって成長する。降着物質はブラックホールに向かって落下する過程で熱くなってエネルギーを放出し、AGNとして観測される。これまでの研究で、ガスは銀河全域の星間媒質からその中心領域 ―― 中心から約100パーセク内の領域 ―― に供給されることが示されている。しかし、ブラックホールを取り巻く最も内側の領域(10パーセク内)でガスがどのように供給されるかは、その領域が極めてコンパクトであるため、ほぼわかっていない。泉拓磨らは、電波望遠鏡アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いて0.5から2.6パーセクの空間分解能でコンパス座銀河の活動核のサブミリ波観測を実施し、その観測結果をALMAアーカイブデータで補足した。この方法によって泉らは、パーセクスケールでの分子、原子、イオン化ガスの動きを研究することができ、それによって、高密度分子ガスがAGN中心パーセクに流入し、中心部でSMBHに質量供給していることが明らかになった。この観測結果によると、ブラックホールが消費するのは流入量のごく一部、3%以下で、残りは多相ガスの流出によって放出され、ホスト銀河での星形成に影響するAGNフィードバックを行う。描写されているサブパーセクの降着に関与するプロセスは制限が少ない状態ではあるが、重力的に不安定な高密度ガス円盤が中心1パーセク内への降着を引き起こしていると考えられると、泉らは述べている。


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