News Release

新しい金属有機構造体はガスを容易に分離する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

今回発見された新しいタイプの微孔性の金属有機構造体(MOF)は、極めて重要な(しかし製造コストがまだ高い)工業化学物質であるポリマーグレードのエチレンの製造において、並外れた分離特性を示す。新しい研究によると、この新しい鉄 ―― ペルオキソ系MOFは、エタン/エチレン分離に関してはこれまで報告されたなかで最高の物質であり、工業的に応用できる大きな可能性を秘めている。エチレン(C2H4)はポリエチレンプラスチックと同様に、広く使われている化学物質であり、多くの製品の製造に欠かせない。しかし、現行の確立した製造方法では、化学工業で最も大量のエネルギーを消費するプロセスの一つである低温蒸留プロセスによって、エタン(C2H6)からエチレンを分離する必要がある。コスト効率とエネルギー効率のよいエタン/エチレン分離プロセスを開発することは、大いに求められていることであり、エネルギー効率のよい工業的分離プロセスを将来実現するために、最も重要なものの一つである。MOFなどの微孔性材料を用いたガス分離プロセスが、従来のエタン/エチレン分離法に代わるものとして有望なことは知られていたが、こうした物質の多くはエチレンを優先的に吸着するので、追加のプロセスでさらにMOFから分離しなければならない。しかも、ポリマーグレードの純度(99.95%以上)を実現するには、何度も分離を繰り返す必要があるため、全体的な効率や費用対効果が低い。鉄-ペルオキソ部位を含み、エタンのようなアルカンを優先的に結合させる天然の金属酵素から発想を得て、Libo LiらはFe2(O2)(dobdc)を用いて類似したMOFを合成し、その分離性能を評価した。Liらは、この物質がエチレンよりもエタンの結合を著しく優先させることを見出した。さらに著者らは、この物質は周囲条件においてたった一度の分離で、ポリマーグレードのエチレン(純度99.99%)を生成する能力があることを示した。エタン/エチレン分離に関して高い性能をもつことが、理論計算やシミュレーションや実験によってさらに実証された。

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