News Release

エボラとの闘い、支持療法から臨床開発中のワクチンまで

Longitudinal peripheral blood transcriptional analysis of a patient with severe Ebola virus disease

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

エボラとの闘い、支持療法から臨床開発中のワクチンまで

新たな研究から、エボラウイルス疾患(EVD)の罹患から回復への患者の進行の経過中に観察された1日毎の免疫応答に関する初の詳細な記述が報告された。2013~2015年に西アフリカで発生したEVDアウトブレイクの間、28,000件を超える感染が報告され、11,310例の死亡が確認された。EVDは発熱や脱力という初期の非特異的な症状から、後期段階における重度の下痢、出血、多臓器不全へと急速に進行するが、この疾患に対して米国食品医薬品局から承認されたワクチンや薬物はこれまでにない。アウトブレイクは多くの場合、資源の限られた状況で発生するため、ヒト宿主におけるこの病原体の病態生理がいかなるものかについて分かっていることは比較的少ない。今回初めてJohn Kashらは、シエラレオネでエボラウイルスに曝露され、本疾患の症状の発現から7日後に国立衛生研究所(NIH)に入院した34歳の医療従事者において生じた遺伝子発現の変化を注意深く追跡した。この患者は、症状発現から33日後にNIHから退院した。この患者の多臓器不全へと至る進行から、最終的に回復するまでの間に、研究者らは生理的反応の複数の段階を同定した。驚くべきことに、ウイルス濃度は疾患重症度と相関せず、被験者には13日目に末梢血白血球にエボラウイルスが検出されなかったにもかかわらず、さらに6日間にわたり危篤状態が持続した。研究者らによれば、観察された変化は、EVDの進行における重要な転換点を表す可能性があり、将来のアウトブレイク時における支持療法を改善する助けとなり得るという。

別の分析でAngela Huttnerらは、水疱性口炎ウイルスをベクターとして用いた実験的組換えザイール型エボラウイルスワクチン(rVSV-ZEBOV)の接種を受けた健常被験者から採取した血清の検討を行い、有害な副反応を予測する特徴の同定を試みた。このワクチンは、ギニアで実施され、近接して暮らしているエボラウイルス感染者のグループにrVSV-ZEBOVを接種した、複数のリングワクチン接種試験において有効であるとされた。しかし、ワクチン製造者は米国FDAの承認をまだ受けていない。欧州およびアフリカで行われた試験では、rVSV-ZEBOVにより防御免疫が得られたことが示されたが、試験参加者の一部はワクチン接種後、とくに高用量の接種後に短期の全身性炎症と関節炎を発症した。今回、研究者らはジュネーブとガボンで実施された2つの別のワクチン試験に参加した計190人の血清サンプルを調べた。その結果、有害な副反応を予測する6つのマーカーが同定され、またこれらのマーカーには、体内の炎症反応に重要な役割を果たす免疫細胞のサブセットである単球の活性との対応も認められた。これらの特徴は、致死的な疾患に対して大きな可能性を有するワクチンに関する転帰について重要な洞察をもたらし、今後の研究では他の種類のワクチンについて同様の予測ツールを用いることができるであろう、と著者らは述べている。

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