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コロナホールで多数発生する小規模な「ピコフレア・ジェット」が太陽風を加速する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

探査機ソーラー・オービターから得られた太陽の極端紫外線画像によって、コロナホール内に小規模なジェットが多数あることが明らかになった。本研究論文の著者らによると、このいわゆる「ピコフレア」ジェットが、太陽風にエネルギーとプラズマを供給している可能性があるという。太陽風とは、太陽のコロナから絶えず吹き出している荷電粒子の流れであり、太陽圏における宇宙天気の重要な要素である。太陽風の流れをたどると、太陽の外層大気にあるコロナホールという領域に行き着く。コロナホールは太陽風の源だと考えられているが、そこから太陽風が発生する仕組みはまだ分かっていない。今回、Lakshmi Chittaらは、探査機ソーラー・オービターに搭載された極端紫外線撮像装置(EUI)を用いて、コロナホールを観測した結果を報告している。Chittaらは、コロナホール内に種々の小規模なプラズマジェットがあることを確認した。こうしたジェットは広範囲に見られるが、直径はわずか数百キロメートルと弱く、20~100秒しか持続せず、秒速は約100キロメートルであることが観察された。このジェットは磁気リコネクションが動力源となっていると考えられる。運動エネルギーが比較的低いことから、Chittaらは、これをピコフレア・ジェットと呼んでいる。著者らの計算によると、多数頻発するピコフレア・ジェットから流れ出るプラズマは、コロナホールの開いた磁力線に沿って流れることで、太陽周期を通じて太陽風に膨大な質量とエネルギーの流れを供給している可能性があるという。関連するPerspectiveでは、Ignacio Ugarte-UrraとYi-Ming Wangが、本研究とその結果について詳細に論じている。


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