News Release

持続可能性に向けた木材の遺伝子編集

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

再生可能なティッシュペーパー、紙、包装紙、織物、その他の繊維製品に対する需要が高まっており、その需要を満たすためには木質繊維が重要である。それにもかかわらず、これまでの木質繊維の生産は、研究者らが期待するほど効率的・生産的ではなかった。現在、CRISPR編集によって、繊維生産により適したリグニン(これを切断・分解することで繊維の生産が可能になる)をもつ木材を設計できるようになっている。「編集された木材は、繊維生産の主なボトルネックを緩和し……前例のない作業効率、生物経済的なビジネスチャンス、環境面の利益をもたらす可能性がある」と本研究の著者らは述べている。木材から繊維をどれだけ取り出せるかは、化学分解や酵素分解に抵抗性を示す生体高分子である、リグニンの含有量と組成に大きく左右される。50年以上にわたり、リグニンの生合成における各要素について広く研究が行われてきた。しかし、これらの取り組みは主に、単一の遺伝子または遺伝子ファミリーの組み換えに焦点を当ててきた。今回、Daniel Sulisらは、モノリグノール生合成遺伝子に対して戦略的な多重CRISPR編集を行えば、単一の遺伝子や遺伝子ファミリーの編集で達成できる以上に、木材の特性を改善できることを示した。著者らはこの方法を用いて、ポプラという樹木種を遺伝子改変した木材組成物を作り出した。CRISPR編集により、この木材の炭水化物/リグニン比は野生型の228%まで増加した。これによって、より効率的な繊維パルプ化の準備が整ったことになる。関連するPerspectiveではVânia G. Zuin Zeidlerが、遺伝子操作によって樹木のリグニンが少なくなれば、紙生産に伴う汚染を減少できると論じている。


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