2件の別々の研究で、エネルギー変換効率30%を超える高性能のペロブスカイト・シリコンタンデム型太陽電池の作製を可能にする新たな方法が提示されている。シリコン太陽電池 ―― 最も一般的に展開されている太陽光発電(PV)技術 ―― は、そのエネルギー変換効率(PCE)の理論限界29%に急速に近づきつつある。太陽電池の効率を高める方法の1つは、エネルギーに変換する太陽光のスペクトルを最適化することである。これは、複数の相互接続した光活性材料を1つのデバイスに積み重ね、太陽エネルギーの吸収を向上させることで実現できる。ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池を組み合わせたタンデム型デバイスが、高性能のPVに向けた有望な道筋を示す可能性がある。今回、2件の別々の研究で、研究者らはPCEが30%を超えるペロブスカイト・シリコンタンデム型太陽電池の開発に関して異なる戦略を提示している。関連するPerspectiveではStefaan De WolfとErkan Aydinが、「この閾値の克服は、高性能で低コストのPVを市場に出せるという確信を与えるものである」と述べている。
一方の研究ではXin Yu Chinらが、業界標準であるマイクロメートル単位のピラミッド構造を特徴とするシリコンボトムセルの上にペロブスカイトトップセルを均一に堆積させることで、タンデム型太陽電池における光電流の増大を促進できることを示している。Chinらは、太陽電池の処理シーケンスでホスホン酸添加剤を用いると、ペロブスカイトの結晶化プロセスが改善されただけでなく、再結合損失の抑制にも役立ったことを明らかにしている。概念実証として、著者らは有効面積1.17平方センチメートルで認証PCE 31.2%を達成するデバイスを作製した。Silvia Mariottiらは別のアプローチをとり、イオン液体 ―― ヨウ化ピペラジニウム ―― を使うと、正の双極子の形成によって三ハロゲン化ペロブスカイトと電子輸送層の界面におけるバンドアライメントが改善し電荷の取り出しが向上したことを示している。この修飾を用いてMariottiらは、最大2.0ボルトという目覚ましい開放電圧と認証PCE最大32.5%を実証するペロブスカイト・シリコンタンデム型太陽電池を開発した。
Journal
Science
Article Title
Interface passivation for 31.25%-efficient perovskite/silicon tandem solar cells
Article Publication Date
7-Jul-2023