Tzu-Chiao LuとMaria Brbicらは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の加齢に応じた単一核トランスクリプトームマップであるAging Fly Cell Atlas(AFCA)を完成させた。加齢は、ヒトを含む多くの動物において様々な疾患の危険因子であることが知られているが、加齢のプロセスが細胞構成や異なる細胞型に対してどのように影響を及ぼすかはほとんど知られておらず、今回の新しいマップが今後の研究にとって貴重な参考リソースとなる。Luらはsingle-nucleus RNA(snRNA)シークエンシングを用いて、ショウジョウバエの頭部および体部の5日、30日、50日および70日齢の組織を分析してこのFly Cell Atlasを作成したが、これはショウジョウバエの寿命をカバーしている(70日齢のショウジョウバエは、ヒトでは80~90歳とほぼ同等と推定される)。この研究の著者らは、163種の細胞型における850,000個の核の特性解析を行い、遺伝子発現、組織中の細胞構成、および細胞の同一性における加齢に伴う変化を追跡した。著者らは、細胞型の違いによって加齢パターンが大きく異なっていると結論付けた。ショウジョウバエにみられた最も劇的な変化の一つは、加齢に伴う大幅な脂肪体核の増加と筋細胞核の減少であることが分かった。Luらはまた、トランスクリプトームデータからショウジョウバエの日齢を予測するための加齢時計を開発した。
Journal
Science
Article Title
Aging Fly Cell Atlas identifies exhaustive aging features at cellular resolution
Article Publication Date
16-Jun-2023