News Release

コロイドの動きを支配する新しい法則を発見

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

image: Researchers at The University of Tokyo show how including the effects of the surrounding water during the aggregation of charged particles can improve the accuracy of simulations, which may help elucidate biological self-assembly view more 

Credit: Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

コロイド溶液は、外から電場を与えることで流れや変形などを制御できるために、基礎学理の観点だけでなく、実用面からも注目されています。コロイド溶液に含まれる個々のコロイドの帯電状態は同じではなく、しばしば、正負逆に帯電したコロイドが共存しています。しかし、電場下でこれらのコロイドがどのように動き、溶液がどのように流れるのか、互いがどのような影響を及ぼし合うのかをシミュレーションするには、多大な計算コストが必要となるため、これまでのシミュレーション研究では、溶液の流れは考慮されていませんでした。
東京大学 先端科学技術研究センターのユアン ジャアシン 特任研究員、同学 生産技術研究所の高江 恭平 特任講師、同学 田中 肇 名誉教授(現在:先端科学技術研究センター シニアプログラムアドバイザー)の研究グループは、コロイド溶液の流動を計算可能な独自のシミュレーションを用いて、電場下で正負に帯電したコロイドが泳動する際、溶液の流動が果たす役割を明らかにしました。流動を考慮しない従来のシミュレーションでは、コロイドは複数の帯に分かれるのに対し、溶液の流動を取り入れることで、3次元ネットワーク状につながった構造ができることを発見しました。また、そのメカニズムとして、コロイド間に溶媒が流れ込む効果に由来することを発見し、「逆スクイーズ流れ」と命名しました。これにより、コロイドの運動が劇的に(6倍程度)遅くなることを明らかにしました。
この結果は、コロイド溶液を電場で操作する際に、溶液の流動を上手く利用することで、構造を選択できることを示しています。高い刺激応答性を持つゲル・フォトニックデバイスの設計や、生体内におけるコロイド輸送の理解につながるなど、幅広い展開が期待されます。
本研究成果は、2022年12月9日(米国東部時間)に「Physical Review Letters」に掲載されました。


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