最も遠くにある銀河の候補となる天体が発見され、アルマ望遠鏡を用いた観測でその距離が135億光年ほどと示唆されました。この天体は2021年12月に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での詳細な観測が予定されています。
遠くにある天体からの光は、私たちに届くまでに長い年月を要します。より遠い天体を観測すると、より昔の宇宙の姿が明らかになります。そのため、天文学者はより遠い天体、より昔の天体を長年にわたって探し求めてきました。
東京大学の播金優一(はりかね ゆういち)助教、早稲田大学の井上昭雄(いのうえ あきお)教授を中心とする国際研究チームは、これまでに確認されていた最遠の天体よりもさらに遠く古いと考えられる特徴を持つ天体「HD1」を発見しました。HD1は地上望遠鏡による観測で捉えられた70万個以上の候補の中から探し出されましたが、アルマ望遠鏡を用いてより詳細に観測したところ、距離が135億光年である場合の兆候が見いだされたのです。これまでの記録よりも1億光年も遠く、1億年も時間をさかのぼる天体である可能性が高いことになります。またこの天体は予想以上に明るく、誕生から3億年という初期の宇宙にこれほど明るい天体が存在することは予言されていませんでした。
HD1は、2021年12月に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の、最初期の観測対象にも選定されるなど、大きな注目を集めています。こういった最遠の天体の観測を積み重ねていくことで、宇宙初期のようすについての理解が大きく進むと期待されています。
この研究成果は、Harikane et al. “A Search for H-Dropout Lyman Break Galaxies at z~12-16”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に2022年4月8日付で掲載されます。
Method of Research
Observational study
Subject of Research
Not applicable
Article Title
A Search for H-Dropout Lyman Break Galaxies at z~12-16
Article Publication Date
8-Apr-2022