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生物はどこまで賢く匂いを探索するのか?~ノイズに負けない探索戦略を紐解く新理論を構築~

Peer-Reviewed Publication

Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

image: Researchers at The University of Tokyo demonstrate the theoretically optimal search method for organisms that employ the “run-and-tumble” technique, and find that it conforms with observations of chemotaxis by E. coli, which may help automate drones view more 

Credit: Institute of Industrial Science, the University of Tokyo

生物は、匂い物質など環境中の分子を嗅覚で感知し、その情報に基づき適切に自身の運動を制御することで、匂いの発生源である餌や良い環境などを効率的に探索する。探索行動における運動制御の効率性やその原理は、理学・工学的観点から興味が持たれてきたが、生物特有の大きなゆらぎやノイズ、そして非線形的な振る舞いなどのために、既存の制御理論では扱うことが困難であった。

東京大学 大学院情報理工学系研究科 博士課程2年の中村 絢斗 大学院生と同 生産技術研究所の小林 徹也 准教授は、確率最適制御理論の一種である部分観測制御にKullback-Leibler制御の枠組みを組み合わせることで、ノイズや非線形性を考慮した上で探索行動の最適性を扱う理論を構築した。さらに、大腸菌の嗅覚・運動系を例にして、この理論が実際の生物が示す探索行動の理解や予測に有用であることを示した。この結果は、生体システムの理解のみならず、探索ロボットのような工学的応用にも寄与する理論的基礎となることが期待される。

本研究成果は、2022年2月15日にAmerican Physical Societyによる「Physical Review Research」に掲載された。


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