News Release

ヒト心臓細胞から作製したバイオハイブリッド魚により、心臓の生理機能に関する見識が明らかに

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ヒト心臓の2つの重要な制御機能に焦点を当てて設計された、自律的に泳ぐバイオハイブリッド魚により、筋肉ポンプ(心臓など)におけるフィードバック機構の重要性が明らかになった。この知見は、将来、生筋細胞から作製する人工心臓の開発に役立つ可能性がある。バイオハイブリッドシステム(生体成分と人工成分の両方を含むデバイス)は、生物の生理的制御機構を研究するため、およびヒトの健康に関する懸念などの多くの差し迫った懸念について、生物に着想を得たロボット工学的解決策を発見するために有効な方法である。しかし、血液循環のような天然の体液輸送ポンプに関しては、バイオハイブリッドシステムの性能は不十分であった。今回、心臓の2つの機能制御特性、すなわち機械電気的シグナル伝達と自動性を、別の体液輸送系の合成類似物、すなわち泳ぐ魚に移行させることができるかどうかが検討された。Leeらは、ヒト心臓細胞の二重層から構成される自律的に泳ぐ魚を開発した。筋二重層は組織工学技術を用いて統合した。Leeらは外部からの光遺伝学的刺激を用いてバイオハイブリッド魚の筋収縮を制御し、魚類似物を泳がせることができた。試験において、バイオハイブリッド魚は、これまでのバイオハイブリッド筋肉系の運動速度を上回っていた、とLeeらは述べている。今回のバイオハイブリッド魚の自発的活動は108日間維持されたのに対し、単層の筋肉を有するバイオハイブリッド魚では、1ヵ月以内に活動性が悪化した。本研究のデータは、in vitro筋組織の成熟を促進する方法としての筋二重層系と機械電気的シグナル伝達の可能性を示している、とLeeらは述べ、以下のように結論づけている。「まとめると、この技術は、ホメオスタシス制御と適応的行動制御が可能な自律神経系を構築するという目標に向けた基盤研究である可能性がある」。

 

動向に関心がある記者に向けて:本研究は、2016年7月にScienceに発表された、Sung-jin Parkらがラットの心臓細胞を用いて自己推進型エイ類似物を開発した研究(https://www.science.org/doi/full/10.1126/science.aaf4292)に基づいている。


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.