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北極圏の急速な温暖化が米国の冬季異常気象を引き起こしているらしい

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

北極圏の変化がその他の地域の異常気象に及ぼす影響について議論されるなか、新しい研究では、北極圏における急速な温暖化が米国における冬季異常気象を引き起こしている可能性が高いと報告している。この研究結果は、観測データとモデリングデータに基づいており、人為的な気候変動と成層圏極渦(SPV)現象の崩壊との間に、物理的つながりがあることを立証するものである。気候温暖化は、一部の極端な気象現象(熱波や降水事象など)の増加につながると予想されているが、冬季異常気象を引き起こすとはあまり考えられていない。しかし、気候モデルによる予測に反して、北半球における冬季異常気象(大雪や異常な寒波など)の頻度は増加していると報告されている。この顕著な一例が、2021年2月に米国南部平原を襲った寒波であり、この寒波によってテキサス州のエネルギー供給網は崩壊し、推定約2000米ドルという記録的な被害が出た。これは影響の大きな最近のハリケーンによる被害額を大幅に上回る。北極圏で加速する温暖化つまり北極温暖化増幅(AA)によって、北極のSPVが崩壊することで、こうした異常気象が引き起こされているという仮説がある。AAおよびそれがSPV変動に及ぼす影響と冬季異常気象との間に、物理的なつながりがあるかどうかは、これまで不明だった。観測結果とモデル予測が一致しなかったのである。Judah CohenらはSPV変動に関する先行研究を踏まえ、過去40年にわたるSPVの観測結果分析と新しい気候モデル実験とを組み合わせた。その結果、北極圏の急速な温暖化とその影響とを結びつける物理的つながりが明らかになった。つまり、海氷消失とユーラシアにおける積雪量増加や、SPV崩壊と中緯度地域における冬季異常気象の頻度増加である。この研究結果を利用すれば、アジアやカナダや米国において、冬季異常気象に対する警報のリードタイム(猶予時間)を長くできる可能性があると、著者らは述べている。関連するPerspectiveではDim Coumouが、「今後の研究では、中緯度地域の寒冷期と温暖期の原因となる北極圏のテレコネクションについて、さらなる解明を目指し、影響の大きな異常気象に特に注意を払うべきである」と述べている。


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