News Release

ビッグデータで世界の人々のオンライン活動の原理に迫る

オンライン上の人々が作るつながりの違いと共通点

Peer-Reviewed Publication

Toyohashi University of Technology (TUT)

image: The global action area map shows geographical disparities in the use of social media despite worldwide utilization. view more 

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<概要>

豊橋技術科学大学情報・知能工学系 廣中詩織特任助教の研究チームは、ソーシャルメディア上で世界10カ国にわたるビッグデータを収集し、人々がオンライン上で作るつながりとふるまいとの関係を分析しました。その結果、ユーザーのふるまいを反映するフォロー比が各国で共通するという特徴を発見しました。社会の多様性が反映されたデータの中で、共通の特徴や違いを見つけることは、それぞれの文化の違いに合わせたデータの活用、例えばマーケティングや効果的な情報発信等につながると考えています。

 

<詳細>

研究チームは、10カ国(日本、アメリカ、ブラジル、イギリス、フィリピン、トルコ、インドネシア、インド、メキシコ、サウジアラビア)にまたがる400万を超えるユーザーらのTwitter上での活動データを収集し、統計処理を用いて、オンライン上で作るつながりとユーザーのふるまいの関係を分析しました。これは世界初の分析となります。

多くの人々がソーシャルメディアを利用するようになったことで、ソーシャルメディアデータを様々な調査や分析に利用する取り組みが増えてきています。これは、ソーシャルメディアデータが社会の様子を間接的に観測しているとみなされているからです。しかし、同じようにソーシャルメディア上で観測されたデータであっても、国ごとに異なる文化やその他の様々な要因によってデータの性質が変化します。ユーザーのふるまいには、そのユーザーが属している集団でのオンライン文化が反映されていると考えられるからです。そのためソーシャルメディアデータを様々な調査に利用するためには、その特性を知ることが重要です。

本研究では、ユーザー同士の活動地域の近さに着目し、ユーザー同士のつながりを分析しました。ソーシャルメディア上でつながっている相手との活動地域の近さには、ソーシャルメディアの利用目的が密接に関わってくると考えられるからです。例えば、友人との交流に利用する場合は活動地域が近くなりやすく、有名人などの投稿やニュースの購読を目的とする場合は活動地域の近さとあまり関連がありません。活動地域の近さと、ソーシャルメディア上でのユーザーのふるまいとの関係を調べ、その特徴を国ごとに比較しました。

その結果、活動地域の近さと関係するユーザーの特徴として、10カ国間での共通点を発見しました。その特徴はフォロー比というもので、ユーザーが購読している数の購読されている数に対する比です。フォロー比が大きいユーザーは購読目的のユーザーだと考えられます。そのほかには、自己紹介文が長いと活動地域が遠い傾向にあるなどの発見がありましたが、10カ国間で共通とまではいきませんでした。

本来、ソーシャルメディア上のつながりのデータは、世界中のユーザーを同じように表現することができるものです。しかし、文化などの違いによって、データの性質が異なることで、友達推薦や属性推定などの機能に期待される精度が出ない場合があります。今回発見された特徴から、国や文化の異なるユーザーに、最適の情報を提供することが可能になると期待できます。

 

<今後の展望>

研究チームは、ソーシャルメディア上で観測されるソーシャルメディア上のビッグデータの性質をより詳細に調べることで、ソーシャルメディアを活用する文化の違いを明らかにし、次世代ソーシャルメディア創出のための手がかりの解明をめざします。

 

本研究は、JST未来社会創造事業、JPMJMI20B4の支援を受けたものです。

 

<論文情報>

Shiori Hironaka, Mitsuo Yoshida and Kyoji Umemura (2021).

Cross-Country Analysis of User Profiles for Graph-Based Location Estimation.

IEEE Access, 10.1109/ACCESS.2021.3086523.


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