2021年8月18日 - ニヨン (スイス)
国際骨粗鬆症連盟 (IOF) はこの度 新たにCapture the Fracture®プログラムのオンライン申請システムを導入し、骨折リエゾンサービス (FLS) を始めとした全世界の骨折後ケアサービス提供医療機関に対する評価プロセス及びFLSグローバル認定の手続きをより簡単に行えるようになりました (システム利用は無料) 。
Capture the Fracture® (CTF) はIOFが主催する国際プログラムの一つで、骨粗鬆症及び骨折患者を支えるチーム医療において、FLSコーディネーターと呼ばれる医療従事者を各医療機関の医療チームに設定し、より効果的な骨折後ケアモデルによる二次骨折予防を国際的に推進していくことを目的としたプロジェクトです。なおCTFは世界中の優良FLS 提供医療機関を対象としたグローバル認証、骨折後ケアにおける国際基準のベストプラクティスフレームワーク (BPF) 及び二次骨折予防のための国際ガイダンスを制定しています。
CTFは全世界のFLS提供医療機関に対し、各施設が提供する骨折リエゾンサービスをBPFと呼ばれる国際基準に基づいて評価し、評価結果に基づいてグローバル認定を行います。その他、国際的に活躍するFLS指導員によるFLS実践教育や医療関連分野における政策介入に関する専門的な指導も行っています。さらに、世界中のFLS専門員により構成される国際FLSネットワークに加盟する事により、幅広い専門知識・経験の共有や新規FLS導入後のフォローアップを受ける事が出来ます。現在、世界49か国、656の医療施設が優良FLS提供医療機関としてCTFグローバル認定を受けており、登録医療機関数は2019年1月以降より二倍以上に増加しています。
“今回新たに開発されたFLSオンライン認証システムにより、Capture the Fracture 国際プログラムへのアクセスがより便利で簡単になりました。世界中の骨折リエゾンサービス (FLS) 提供施設やFLS新規導入を検討中の医療機関からの多くの登録申請を期待しています”
- IOF理事長 Cyrus Cooper
CTFによるFLSグローバル認定の申請受理後、13のパートからなるベストプラクティスフレームワーク (BPF)基準に基づいた審査が行われます。BPFは4つの骨折患者区分 (大腿骨近位部骨折患者、椎体骨折患者、その他の骨折による入院患者、外来骨折患者) に基づいたFLSシステムに関する要件及び医療機関に関する要件における指針です。FLS認定委員会による審査を通過した医療機関はCapture the Fracture®ホームページ上にあるFLS国際認定マップに登録され、各項目の審査結果によるランク付け(ゴールド、シルバー、ブロンズ) と共に表示されます (注:ブルーはFLS新規導入施設に該当) 。その後、正式にFLS提供機関に対しCapture the Fracture®ベストプラクティス国際認定が行われます。審査に必要な情報が不足する場合は登録医療機関情報 (FLS新規導入施設も含む) の備考欄にその旨が記載されます 。
グローバル認定申請方法
CTFホームページからベストプラクティスフレームワーク (Best Practice Framework) を選択し、オンライン申請フォームにアクセスします。初回アクセス時にプラットフォーム上で使用する専用アカウントを作成します。アカウント作成後、画面上ガイダンスに従って質問票の各項目に回答を記入しオンライン申請を完了させます。なお申請後の審査状況の確認及びアカウント・施設情報の変更等はBPFプラットフォームで行うことが可能です。
オンラインベストプラクティスフレームワーク質問票は英語、日本語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語に対応しています (2021年8月現在) 。オランダ語版及びロシア語版を始めとしたその他の言語版のリリースも予定されています。
CTF グローバル認定登録申請には以下のようなメリットがあります。
- レベルの高い骨折後ケア (PFC) 連携プログラム / 骨折リエゾンサービス (FLS) を提供する国際認定医療機関としてグローバルマップに記載され、世界レベルでの認知度アップに繋がる
- 申請を通してPFC連携プログラム / FLSの内容、レベル等に関しCTF国際運営委員会による国際基準に基づく審査を受けることができ、現行のFLSモデル改善のきっかけとなる
- 認定医療機関としてIOF Capture the Fracture®ベストプラクティス認定ロゴマークを医療機関のホームページや資料に使用が可能になる
- 多岐に渡る資料、専用デジタルツールの使用およびFLS国際ネットワークの一員となってノウハウの共有やサポートを享受する事ができる
“約半数の大腿骨近位部骨折患者において脆弱性骨折の既往があるにも関わらず、初回脆弱性骨折後の対応がうまく行われていないケースが数多く存在します。脆弱性骨折患者のほとんどは二次骨折リスクの評価、鑑別診断さえも受けておらず、さらなる骨折を防ぐために必要な骨粗鬆症治療を受けれていないのが現状です。IOFはFLSを始めとした骨折後ケアプログラムの継続的導入およびクオリティ改善推進を通し、医療制度や環境の違いが障壁とならず全世界の骨粗鬆症患者が平等に適切なヘルスケアを享受できる世界を目指して活動を続けていきます。
世界中の医療機関からの骨折後ケアプログラムの新規導入およびCapture the Fracture®プログラムへの参加を期待しています”
― IOF理事長 Cyrus Cooper
ベストプラクティスフレームワークについて
ベストプラクティスフレームワーク (BPF) はCapture the Fracture®プログラムの一環として専門家により制定された骨粗鬆症骨折の二次予防のための国際ガイドラインです。BPFはコーディネーターとよばれる医療従事者を中心としたチーム医療モデルによる骨折後ケアフローを推奨し、その中でも骨折リエゾンサービス (FLS) は最も広く認知されている骨折後ケアサービスモデルの一つです。FLSは病院及び外来の脆弱性骨折患者及び退院患者のフォローアップケアを担当する地域医療施設間での提携を基盤としています。BPFは13のパートから構成され、新規FLSの導入及びプログラムの長期的管理に直結する項目を網羅しています。各項目毎に評価条件及びアウトカム指標を提示し、評価結果により3段階 (ゴールド、シルバー、ブロンズ) のランク付けが行われます。
BPFの目的として以下の点が挙げられます。
- 医療従事者やヘルスケアシステム関係者に対し改善を呼びかけ、既存の医療システムで行われている二次骨折予防対策についての評価を国際基準に基づいて行う
- FLS未構築の医療システムに対してガイダンスを提供し、FLS導入のためのベースを作る
- 既存のFLS提供医療機関に対してサービス内容に関する審査を行い、審査結果に基づいてFLS優良機関に対するグローバル認定を行う
各FLS提供機関はベストプラクティス認定登録にあたり、13のBPF基準項目に対応するベストプラクティスフレームワーク質問票を記入して申請行い、その後Capture the Fracture®国際委員会による審査に進みます。審査終了後、ランク評価付きの認定証が発行され、CTFグローバル認定機関としてベストプラクティスマップに登録されます。
ベストプラクティスフレームワークは14言語に対応、またBPFオンライン質問票は現在5言語に対応しています。その他の言語によるBPFオンライン質問票も現在開発中です。
https://www.capturethefracture.org/index.php/best-practice-framework
https://www.capturethefracture.org/best-practice-framework-questionnaire
Capture the Fracture®について
Capture the Fracture® (CTF) は国際骨粗鬆症連盟 (IOF) が主催する国際プログラムで、多分野からのステークホルダーが一丸となって地域・国内及び国際レベルでの抜本的な改革を促し、より包括的な二次骨折予防対策の実現する事を目的としています。骨折リエゾンサービス (FLS) に関する国際基準を制定し、世界中の医療施設がより簡単かつ効率的にFLS導入及びFLS提供機関としての認定を受けるための支援を行っています。CTFではFLS認定に加えてFLS新規導入・サービス改善のための支援ツールを提供しています。現在、CTFグローバルネットワークには49か国、656のFLS提供施設が登録されています。
https://www.capturethefracture.org #CaptureTheFracture
IOFについて
国際骨粗鬆症連盟(IOF)は骨・筋疾患分野における世界で最も大きな国際NGO組織として疾患予防、鑑別診断、治療の発展に取り組んでいます。IOFスタッフ、世界中の医師、研究者、専門家及び268の患者団体や医学学会 (2021年8月現在)が一丸となり、骨折予防を始めとした骨の健康維持のための国際プロジェクトを実行しています。https://www.osteoporosis.foundation @iofbonehealth