トカゲなどが示す体幹の屈曲を伴う歩行は,現存する四肢動物の共通祖先も示していたことから,動物の運動制御の根源的なメカニズムを探る上で鍵となる振る舞いです。
東北大学電気通信研究所の石黒章夫教授,加納剛史准教授,鈴木朱羅氏(博士後期課程,日本学術振興会特別研究員,当時),スイス連邦工科大学ローザンヌ校のAuke J. Ijspeert教授の研究グループは,このトカゲ様歩行に着目し,全身運動を生みだす制御のメカニズムを解明しました。
本研究では,トカゲ様歩行が「四肢と体幹がお互いの動きを補助するように動作する」という非常にシンプルな制御のルールから生成されることをシミュレーション上で明らかにしました。さらに,世界で初めて,移動速度に応じたトカゲ様歩行のパターンの変化を再現することに成功しました。本成果は,四肢動物が全身の動きを巧みに操るメカニズムの解明,さらには,全身を活用して高い運動能力を発揮するロボットの実現にもつながると期待されます。
本研究成果は,2021年7月 30日(日本時間14時00分)に国際学術誌Frontiers in Neuroroboticsにオンライン掲載されました。
Journal
Frontiers in Neurorobotics