News Release

ウイルス遺伝子が捕食寄生者からチョウとガを守る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、鱗翅目の昆虫 ―― ガとチョウ ―― に感染するウイルスが生きている鱗翅目昆虫の体内に産卵しようとする寄生蜂から鱗翅目昆虫を守るという。この研究結果では、捕食寄生者、ウイルス、それらが共有する宿主昆虫の間でずっと続いている進化的軍拡競争におけるこれまで知られていなかった対抗手段の適応が明らかになった。さらに、捕食寄生者にとって有毒なタンパク質をコードする新しい遺伝子ファミリー ―― parasitoid killing factor(pkf) ―― が一部の昆虫ウイルスファミリーに見られること、また、このpkfは宿主である鱗翅目昆虫のゲノムに組み込まれている場合もあることも判明した。鱗翅目昆虫は同じ宿主資源を奪い合う捕食寄生者の狩蜂と昆虫病原ウイルスの両者に常に狙われており、これは病原体、捕食寄生者、それらが共有する宿主昆虫の適応と対抗適応の進化の連鎖をもたらす推進力である。ウイルスは異なる宿主間の遺伝子伝播の介在に特に適していることから、ウイルス ―― 捕食寄生者 ―― 鱗翅目昆虫の進化的軍拡競争は相互に作用する生物間の遺伝子の水平伝播選択を反映すると考えられる。Laila Gasmiらは、一部の昆虫ウイルスとそれらに感染する複数の鱗翅目昆虫にpkf遺伝子を発見した。この遺伝子が発現すると、ウイルスに感染した宿主の体内にいる寄生蜂の幼虫は発達が阻止される。Gasmiらによると、この結果から、pkfの水平伝播のおかげでこのウイルスは同じ宿主の体内にいる捕食寄生者に勝てることが示されたという。さらに昆虫は、ウイルスとその宿主間でのpkf遺伝子の水平伝播によって寄生生物に対する分子防御機構を獲得した。「私たちの研究結果は、ウイルス ―― 捕食寄生者 ―― 鱗翅目昆虫の進化的軍拡競争の推進力は、天敵とその宿主との個々の関係からだけでなく、捕食寄生者という競争相手に勝つための特定の標的に向けた対抗手段を提供する遺伝子の伝播からも生じることを示唆している」とGasmiらは書いている。


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