News Release

北極圏で夏季に氷がなくなる時期を予測する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

二酸化炭素の排出量と、北極海の氷の消失量に直接的な相関関係があることが、新しい研究によって示された。北極圏で夏季に氷が完全になくなる時期を予測するのはこれまで難しかったが、今回新たに実状がわかったことで、はるかに正確な予測ができるようになると考えられる。今回、Dirk NotzとJulienne Stroeveは、30年分のデータを分析し、9月の月平均海氷量と二酸化炭素の累積排出量とのあいだに線形関係があることを見出した。このデータから、1トンの二酸化炭素が排出されるごとに、3平方メートルの海氷が消失することが明らかになった。著者らはこの知見をもとに、第5期気候モデル相互比較プロジェクト(CMIP5)に参加した気候モデル群の有効性を分析した。その結果、これらのモデルは氷が消失する範囲を実際より低く見積もっていることが多いとわかり、NotzとStroeveは、氷の消失過程に関する現存知識に基づいて、CMIP5のモデルでは長波放射の入射量および変化に対する気候の反応が正確にとらえられていない可能性があることを示唆した。この研究結果から、二酸化炭素の排出を緩和する何らかの対策を講じれば、北極圏で進行中の夏季の海氷の消失を直接的に減速できることが示唆された。したがって、著者らは、二酸化炭素排出量の削減などによって、地球温暖化目標である1.5℃を達成すれば、消えゆく夏季の氷の寿命が延びるだろうと述べている。

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