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幅広い除草剤耐性を付与するイネの遺伝子、新たに同定

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

広く使用されている一部のβ‐トリケトン系除草剤に対する耐性を作物に持たせる新奇なイネ遺伝子が同定されたとの報告で、一部の重要なイネ品種で確認されている除草剤感受性について、その遺伝子的原因が明らかになった。新たに発見された遺伝子は新しい除草剤耐性作物の育種に有用だと考えられる。イネは35億を超える人々にとっての主食であり、世界で最も重要な作物の1つである。世界の食糧供給を充足するには、雑草を抑制する除草剤を使用し、十分な量の作物を生産しなければならない。有益な除草剤がその効果を望みもしない植物には有毒でも対象となる作物には害がないとして、個々の除草剤を過剰に使用すると、以前は雑草を枯死させていた効果に耐性を持つ雑草の出現につながりかねない。水田での使用を目的に開発されたβ‐トリケトン系除草剤ベンゾビシクロン(BBC)は他の除草剤には耐性を示す水田の雑草に効果がある。しかし本論文の著者らによると、BBCは一部の多収イネ品種にも有毒である。前田英郎らはBBCに対する耐性や感受性をもたらす遺伝子を同定すべく、BBC耐性とBBC感受性のイネ品種についてマップベースクローニングを行い、BBCとその他のβ‐トリケトン系除草剤に対する耐性を付与する遺伝子、HIS1を同定した。前田らによると、HIS1はBBC化合物に触媒作用を及ぼして解毒するオキシダーゼをコードするという。しかし、感受性を示すイネ品種は機能不全のhis1対立遺伝子を受け継いでおり、遺伝子変異があってHIS1が発現できない。また、同じような機能の遺伝子が他の重要な作物種でも広く存在していると考えられ、このことは新しい除草剤耐性作物の育種に潜在的価値があることを示唆している。

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