道路で区切られた土地が100km2を超えるのは7%にすぎないほど、世界中の土地が現在道路で分断されていることが新しい研究で報告された。この結果は地球上の人間の足跡を強く強調している。道路があることによる環境への直接的および間接的影響は数多く、たとえば森林の破壊や分断化、化学汚染、騒音公害、野生動物の死亡率の上昇などが挙げられる。現在の道路網の広がりとその影響をより詳しく把握するために、Pierre L. Ibischらは2つの地球規模のデータセット、OpenStreetMapとgROADSを分析した。さらに、道路の空間的影響を評価した282の文献も調べたところ、影響は多くの場合道路そのものから約1キロにかけて広がることを発見したため、1キロ緩衝帯についても分析を行った。結果、道路以外の土地は地球表面の約80%を占めるが、この土地は約600,000の区画に分断されており、この区画の半数以上が1km2以下、80%は5km2以下、100km2を超えるのはわずか7%しかないことが判明した。Ibischらは分断化の影響を受ける生物群系のタイプの違いに注目している。ツンドラ、岩、氷に覆われた生物群系にはほぼ全く道路がなく、温暖な広葉樹林と混交林で分断化が最も進んでいた。全体として、世界の道路以外の土地の約3分の1が生物多様性、生態学的機能、および生態系の回復力が低い地域にある。最後にIbischらはどの程度の土地が保護下にあるかを調査し、かなり不十分であることを発見した。迅速に保護を強化するようにしなければ世界に残っている道路以外の土地はさらに劣化するであろうとIbischらは述べている。
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