太陽からエネルギーを獲得する微生物は、自身の「騒々しい」光合成アンテナ網について静音化および自身の環境への適合を行うことによって、際立って効率的に光エネルギーを捕捉している。どのようにして光合成生物の出力がそのように効率的にまとめられるのかという疑問を調べ、将来の太陽光技術の設計改善のために使用し得るこの素晴らしい能力の根底にある普遍的概念を明らかにするために、新たなアプローチが取られている。関連するPerspectiveにおいて、Christopher Duffyは「光合成アンテナの発達の背後にある進化論的駆動源が効率性最大化ではなく、雑音除去であることが示唆されるため、今回の発見は・・・重要である」と書いている。光合成の際、太陽からの光子は光エネルギー捕捉用アンテナ網によって吸収されて、電子励起として反応中心に伝送され、この反応中心で化学エネルギーに変換され、植物などの光合成生物により自身の代謝を駆動するために使用される。光エネルギー捕捉用アンテナ複合体は、種々のタンパク質および光吸収色素のモジュール群から組み立てられており、著しく効果的である。照明条件が常に変化し、生理機能が複雑であるにもかかわらず、吸収された各々の光子を化学的に利用可能な電子に変換して、ほぼ完全な量子効率を達成することができている。光捕捉は光合成生物の全範囲にわたって形態および機能がばらついているけれども、一連の共通した「設計」原理がそのように効果的なシステムの根底にあるかは不明である。Trevor Arpらはネットワーク理論モデルを適用して、3つの異なる光合成の生態的地位(日なた、葉に覆われた状態および水面下)において最適な光捕捉に必要な最も基本的な要件を明らかにした。異なる環境中にいる光合成生物が、狭いスペクトル範囲においてわずかに異なる複数の光の波長を吸収する2種類の色素を使用することによって、太陽エネルギーの突然の変化を緩和して、エネルギー変動、つまり光捕捉用アンテナ出力の「雑音」の可能性を最小限に抑えることをArpらは発見した。光捕捉用アンテナを進化論的に最大出力変換に向けて調整することができることが今回の発見から示された。いくつかの光合成生物間で観察される波長依存性のばらつきを説明するための基礎も提供している。
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