アルマ望遠鏡を用いた観測により、原始星から吹き出すガス流の根元の場所で、一酸化アルミニウム分子が発見されました。惑星の形成現場では初めての発見で、惑星がどのように形成されるかを知る手がかりとなると期待されます。
惑星は、恒星が誕生する周囲で塵(ちり)が集まって形成されます。その初期には、アルミニウムなどを主成分とする鉱物が重要な役割を果たすと考えられています。このような鉱物は太陽系ができたころの組成を保つ隕石に豊富に含まれており、また年老いた恒星の周りでは検出されてきましたが、惑星が形成されつつある場所で発見されたことはこれまでありませんでした。
東京大学、国立天文台、理化学研究所などの研究者のグループは、アルマ望遠鏡による観測データから、私たちから1400光年離れたオリオン大星雲の中にある「オリオンKL電波源I(アイ)」と名付けられた原始星から吹き出すガス流の根元の場所で、一酸化アルミニウム分子が出す電波を発見しました。この電波はガス流の根元付近だけで検出されていることから、ガス流の中で温度が下がり、一酸化アルミニウム分子が塵に姿を変えていると推測されます。
この研究は、太陽系やその他の系外惑星系で、惑星の材料がどのように作られ、惑星へと進化したのかを理解するための手掛かりとなるでしょう。探査機による太陽系天体のサンプルリターン結果と比較することで、太陽系の形成・進化過程が、他の惑星系と似ているのか、それとも異なるのかという議論が進展することも期待されます。
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Journal
The Astrophysical Journal Letters