News Release

世界的に「落とし物」の財布は中身が多いほど返すことが多い。「盗んだ」と思われたくない

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

「落とし物」の財布を返すか(返さないか)を40ヵ国の人々はどう決めるかの研究で、驚いたことに、伝統的な経済論理とは対照的に、入っている金額が大きいほど財布を返す傾向にあることが判明した。研究を実施した世界の国々のうち38ヵ国で、不正行為に対するインセンティブが大きくなるほど(財布の中身が多いほど)、このような誠実さは増した。誠実さは、例えば契約や税金が関係するような経済発展や様々な関係性の中で社会が普通に機能する仕組みにとって重要である。しかしそれは個々の自己利益とは矛盾することが多い。Alain Cohnらは誠実さと自己利益の間のトレードオフをより厳密に評価したいと考え、「落とし物」を拾得した人々の誠実さの動機について個々にテストを行った。Cohnと国際研究チームは世界規模の実地調査で、空っぽ、US $13.45相当、US $94.15相当が入った17,303個の財布について40ヵ国355都市の公的および民間機関に「遺失物」届けを提出した。拾得者らが着服する傾向にある金額を突き止めようとCohnらは実験に入ったが、40ヵ国中38ヵ国で圧倒的に人々は空っぽの財布よりもお金の入った財布を拾得物として届け出る傾向にあったことが分かった。世界各地で、入っている額が少ない方の財布を拾った人の51%が届け出た。多額のお金が入っている財布の場合、届出率は72%にまで上昇した。

Cohnらによると、この結果は世界の人々の全般的な誠実さを示す尺度であり、自分自身を優先するより他者に対する気遣いを示したいとの気持ちが強い場合があることを実証しているという。もっともそれがすべてではなく、人々はまた自己イメージに対する懸念からも財布の中身が多いほど返却していた。「心理的な動機、つまり自分を泥棒と思いたくない気持ちは金銭的な動機よりも大きくなり得る」と共著者であるMichel André Maréchalは述べている。このことは、人々にとってお金より誠実さが大切な理由をより深く解明するための追跡研究で調査された。また、財布の中に鍵も入っていると財布の返却率が上がったなどの複数の追加実地調査では、財布を返した人は財布を失くした人を心配する気持ちと自己イメージを大切にしたいという気持ちの両者から財布を返していたことが判明した。この結果はお金が多く入っているほど返却されないと予想していた人々と経済学者にとって驚きであったと著者らは述べている。関係するPerspectiveではShaul Shalviが、この研究結果が自己利益こそ行動の原動力だとする伝統的な経済論理をどう否定しているかを説明し、「今回の研究結果は、利他的に行動したい、正しい事をしたいといった心理学的考察から人々の行動が予言できることを示している」と述べている。

###


Disclaimer: AAAS and EurekAlert! are not responsible for the accuracy of news releases posted to EurekAlert! by contributing institutions or for the use of any information through the EurekAlert system.