News Release

磁気アシストによるホログラムメモリ実用化への第一歩

サブタイトル: 磁気ホログラムメモリのエラーゼロでの記録・再生に成功

Peer-Reviewed Publication

Toyohashi University of Technology (TUT)

Fig.1: Reconstructed Image With and Without Magnetic Assist

image: This is a reconstructed image with and without magnetic assist. view more 

Credit: Copyright (C) Toyohashi University Of Technology. All Rights Reserved.

近年、インターネットや8K放送をはじめ、世の中に流通する情報は増え続けており、そうした大容量データを超高記録密度・超高速で保管する革新的な技術が求められています。磁気ホログラムメモリはそうした要求を満たす技術の1つであり、DVDやBlu-ray Discと同じサイズのディスクに1 TB(通常の容量25 GBのBlu-rayディスク40枚分)を超える情報を記録できる技術です。

磁気ホログラムは、記録の際、一方向に磁化させたメディアに情報を持った光(信号光)と参照光を照射すると両者が干渉して、その結果生じる光の強弱のパターンが磁化の向きの違いとして記録されます。このとき、外部から磁場をかけながら記録することで、磁化の向きの違いをはっきりと記録することが可能となり、これを磁気アシスト記録といいます。

豊橋技術科学大学の中村雄一准教授らの研究グループは、この磁気アシスト記録という手法を用いて、世界で初めて磁気ホログラムメモリの記録エネルギーの低エネルギー化とエラーゼロでの再生に成功しました。

研究グループは、シミュレーションにより、磁気ホログラム記録時に磁化を反転させるのに必要な浮遊磁界の大きさを評価し、メディアの膜厚が薄いほど浮遊磁界が小さくホログラムの記録が不鮮明になる傾向があることを見いだしました。そして、メディアの膜厚が薄い場合であっても、磁気アシスト記録を行うことにより、はっきりとした磁気ホログラムが形成でき、形成できた磁気ホログラムへ参照光を照射することで、明るい再生光が得られることを実験で示しました。その後、二次元データを磁気アシスト記録し、再生したところ、明瞭な再生像が得られ、より小さなエネルギーで書き込んでも記録・再生したデータのエラー数を劇的に低減でき、エラーゼロでの記録・再生ができることを初めて実験で示しました。

第一著者の白樫は「これまで磁気ホログラムで明瞭な再生像を得るためには、材料特性や光学条件などが厳しく困難でしたが、今回、実証した磁気アシスト記録ではこれらの記録条件を緩和し、かつ記録媒体の再生特性を向上させることができるようになりました。今後の磁気ホログラムメモリの実用化に向けて、この手法が貢献できると期待しています。」と述べています。

今後は記録密度の向上に向けた研究を推し進め、最終的にはBlu-rayディスクを超える超高密度高速光情報ストレージとして、8Kのスーパーハイビジョンや3D映画などの大容量コンテンツを入れて持ち運べたり、医療生体画像データやインターネットにおけるSNS、データセンターなどの大容量データのアーカイブ・コールドストレージなどに広く利用できる技術として確立することを目指しています。

本研究の一部は科学研究費補助金 基盤(S) 26220902 および 基盤(A) 15H02240の補助を受けて実施したものです。

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参考文献

Zen Shirakashi, Taichi Goto, Hiroyuki Takagi, Yuichi Nakamura, Pang Boey Lim, Hironaga Uchida & Mitsuteru Inoue, “Reconstruction of non-error magnetic hologram data by magnetic assist recording” Scientific Reports,7, Article number: 12835 (2017)
doi:10.1038/s41598-017-12442-z


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