新しい地球規模での森林の評価、おそらく生物多様性における最大の地上の貯蔵庫の評価によると、平均して生物多様性が10%失われると、森林から得られるバイオマスも含めた生産量は2~3%減ることが示唆された。著者らはこれらの結果に基づき、商業的生産性の維持における生物多様性の価値は、1660億~4900億米ドルであると見積もった。これは効果的な地球環境保全にかかる総費用の5倍にあたる。この結果から、森林の管理・回復をより的確に伝えるのに役立つ、重要な洞察が得られた。「生物多様性と生産性の関係(BPR:biodiversity-productivity relationship)」はここ数年、科学者や政策立案者の関心を集めているが、これまで森林のBPR評価はほとんどが局地的なものだった。地球規模のBPRについてさらなる洞察を得るため、Jingjing Liangらは、44の国と13の生態地域にまたがる777,126の調査区からデータを集めた。全体で、8,737種に及ぶ3000万本以上の木を記録・測定した。彼らの評価によって、一般に地球規模では、木の種類の豊かさが10%減少すると生態系におけるバイオマス生産割合としての生産性が2~3%低下し、木の種類の豊かさが99%減少すると生産性が62~78%低下することが明らかになった。世界のほぼ全域で、生物多様性の損失が大きくなれば生産性動向は常に減少するが、絶対的に見て最大の生産性低下が見られる地域は、アマゾン、西アフリカのギニア湾、アフリカ南東部、中国南部、ミャンマー、ネパール、マレー諸島などである。
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