2D22と呼ばれる、デングウイルス血清型2に特異的なヒト抗体が、マウスを致死的なタイプのウイルスから保護することが明らかになり、2D22がウイルスに結合する部位が、ワクチンの標的となりうることが示唆された。毎年世界中で約4億人が感染するこの蚊媒介性のウイルスには4種類の血清型があるが、保護可能なワクチンは、いまのところない。最近、ワクチン候補のために行われた第3相臨床試験では、とくにデングウイルス血清型2に対して、有効性が乏しいことが示された。Guntur Fibriansahらは、マウスへのウイルス接種前に投与したか接種後に投与したかにかかわらず、2D22がデングウイルス血清型2に対してマウスを保護したことを明らかにした。この知見は、この抗体が予防薬としても治療薬としても作用しうることを示唆している。さらに検討するため、Fibriansahらは、ウイルス血清型2（最も動的な表面を持つデング血清型）の2種類の株と 複合体を形成した2D22の低温電子顕微鏡（cryo-EM）構造を、6.5および7.0オングストロームで解析した。cryo-EM構造により、2D22がウイルス外殻タンパク質と結合し、ウイルス表面の約3分の2にからみついて、宿主細胞への侵入に必要なウイルス外殻タンパク質の配向を再編成できないようにしていることが明らかになった。
###
Article #19: "Cryo-EM structure of an antibody that neutralizes dengue virus type 2 by locking E protein dimers," by G. Fibriansah; T.-S. Ng; J.L. Tan; X.-N. Lim; J.S.G. Ooi; V.A. Kostyuchenko; J. Wang; S.-M. Lok at Duke-National University of Singapore Graduate Medical School in Singapore; G. Fibriansah; T.-S. Ng; J.L. Tan; X.-N. Lim; J.S.G. Ooi; V.A. Kostyuchenko; J. Wang; S.-M. Lok at National University of Singapore in Singapore; K.D. Ibarra; E. Harris at University of California, Berkeley in Berkeley, CA; S.A. Smith; J.E. Crowe Jr. at Vanderbilt University in Nashville, TN; A.M. de Silva at University of North Carolina School of Medicine in Chapel Hill, NC.
Journal
Science