News Release

神経結合が利他行動を指示する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

脳の神経フィンガープリントが利他主義と関連していることが、新しい研究で明らかになった。神経回路の並び方が、人が利己行動をとるか利他行動をとるかを指示している可能性がある。心理学では、動機が人の行動の誘発因子であると考えられているが、動機をはっきりと観察することは困難である。特定の動機に関連した脳の神経回路を明らかにできれば、人の心を知る興味深い手段を提供できる。そのためGrit Heinらは、2種類の動機シナリオ下で、人の脳の構造の違いを明らかにすることを試みた。まず、ボランティアを2群に分けた。第1群はパートナーがショックを受けるのを観察し(共感群)、第2群は、パートナーがお金を犠牲にして、ボランティアが痛みを伴うショックを受けないですむようにした。それぞれの群に、第3の対照者が存在した。両群のボランティアはその後、中立な他の人に比べて、このパートナーのために、喜んでお金を投げ出した(群間の差はなかった)。このように、双方の群の動機は異なっていたが、同じ利他行動を行った。研究者らは、第2のシナリオ時のボランティアの脳の構造を調べ、利他主義に関連する脳領域の明確なパターンを発見した。分類アルゴリズムを用いると、脳結合性の個々のパターンを利用して、利他主義に対する特定の動機(共感または相互関係)を検出できた。例えば、共感誘発性の利他主義は、前島(AI)と腹側線条体(VS)がわずかに負の結合性を示したが、相互作用誘発性利他主義では、これらの領域の間に強い正の結合性がみられた。その後、利他主義のレベルに基づいてボランティアを2群に分けた。「利己的な」人は、前帯状皮質とAIが低いまたは負の結合性を示すことが特徴であったが、主に向社会的な人は、これらの領域が正の結合性を示した。利己主義群に共感誘発性利他主義を誘導すると、向社会的な人とよく似た結合性となった。Sebastian GluthとLaura FontanesiによるPerspectiveで、さらに背景について述べる。

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