News Release

天の川銀河ハローのX線観測によって可能性が除外された暗黒物質崩壊理論

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

近傍にある複数の銀河および銀河団において最近観測されたX線の痕跡は、発生原因が不明であるが、暗黒物質崩壊によるものではないと研究者らが報告している。この発見から暗黒物質に関する素粒子理論によって以前提案されていた解釈が除外されることになる。暗黒物質(DM)は宇宙にある物質の80%超を占めており、その引力によって銀河および銀河団がつなぎとめられている。暗黒物質は宇宙に豊富に存在し、天体物理学では暗黒物質が存在する証拠が確立されているにもかかわらず、DMがどのような素粒子から構成されているのかを含め、この謎に包まれた物質については殆ど何も知られていない。DMについて考えられる素粒子理論の中には、DMがゆっくりと崩壊して通常の物質になると予測するものもある。もしそうならば、暗黒物質の崩壊過程からかすかだが光子が放出され、X線望遠鏡によって検出される可能性がある。近傍にある複数の銀河団について最近行われたX線観測によって、発生原因が不明なX線輝線が3.5キロ電子ボルト(keV)で検出されており、暗黒物質、特に、暗黒物質として仮説の立てられている素粒子であって、ステライルニュートリノとして知られているものの崩壊の痕跡であると解釈する者もいた。これが正しければ、我々の銀河を取り巻くDMが崩壊し、同じX線輝線が現れて、夜空全体にかすかに広がっているはずである。Christopher Dessertらは、欧州宇宙機関の「XMMニュートン」宇宙望遠鏡の観測データを使用して、天の川銀河を取り巻くハロー内で3.5 keV信号を探索した。Dessertらはブランクスカイ(広大なX線放出領域から離れた天空の部分)の観測データで、総露出時間が約1年であるものを分析したが、予想されていた3.5keV輝線の証拠を発見できなかった。今回の論文の著者らによると、今回の発見によって、この予想されていた信号強度の可能性が大幅に除外された。

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