News Release

昔、チンパンジーとボノボも異種交配していた

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

Chimps and Bonobos Had a Fling in the Past

image: An adult female chimpanzee and her juvenile daughter rests on a fallen tree at Ngogo in Kibale National Park, Uganda. view more 

Credit: Kevin Langergraber

新しい詳細な遺伝分析によって、過去に異種交配していたヒト科の動物はヒトの祖先とネアンデルタール人だけではなく、チンパンジーとボノボも数十万年前には同様に異種交配していたことが明らかになった。最もヒトに近い現存種間の遺伝子流動を解明することは、私たち自身の歴史も含めたヒト科の動物の進化に繰り返し関与して来たと考えられるプロセスの解明の手掛かりとなる。飼育下でのチンパンジーとボノボの異種交配については知られているが、野生でのこれらの種間における過去の遺伝子流動については未解明な部分が多い。Marc de Manuelらは解明を進めるために様々な地域の65頭のチンパンジーと10頭のボノボの完全ゲノムを解析した。アフリカの様々な地域からボノボよりかなり多い頭数のチンパンジーを対象とした理由は、これまでの遺伝子研究で特徴的な4種が存在することが判明していたためである。Manuelらは実際に、遺伝分析を行えばそのチンパンジーがどの国、さらにはどの地域の生まれかまで特定できることを発見した。こういった情報の活用は密売のホットスポットとなっている地域を特定し、保護努力を強化することに役立であろうとManuelらは述べている。チンパンジーとボノボのゲノムを比較した結果、ボノボとの遺伝情報の共通点は中央・東部およびナイジェリアからカメルーンまでのチンパンジーが西部のチンパンジーと比較してかなり多いことが判明した。このデータを基に、ボノボからチンパンジーへの遺伝子流動は20万~55万年前に起こったとManuelらは述べている。ヒトにおけるネアンデルタール人の遺伝子パターンと同様に、ボノボの背景となる遺伝情報にはチンパンジーのゲノムでは欠落している情報があり、このことは一部のボノボの遺伝子はチンパンジーにとっては不都合であったと考えらえることを示している。PerspectiveでA. Rus Hoelzelがさらに詳しく述べている。

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