image: This is a Japanese tit looking for snakes when hearing specific alarm calls. view more
Credit: Kyoto University / Toshitaka Suzuki
シジュウカラは天敵のヘビをみつけると、「ジャージャー」と聞こえる特別な鳴き声を発し、仲間に警戒を促します。この鳴き声は、ヘビに遭遇した時以外に発せられることがないので、「ヘビ」を示す単語(名詞)であるかもしれません。もしそうであれば、ヒトの言語と同様に、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビのイメージを想起させる可能性があります。
そこで本研究では、このヘビ特異的な鳴き声が、仲間のシジュウカラ(聞き手)にヘビに関する視覚イメージを想起させるかどうか実験的に検証しました。その結果、シジュウカラはこの声を聞いた時にだけ、ヘビのように木の幹や地面を這わせた小枝に接近し、それを確認することが分かりました。これはヘビ特異的な鳴き声からヘビの探索イメージを想起し、ヘビのように動く枝に当てはめた結果と考えられます。
鈴木研究員は、「従来、動物の音声コミュニケーションは、話し手が聞き手の行動を機械的に操作する単純なものであると考えられてきました。本研究は、この枠組みを覆しうる大きな成果です。「リンゴ」と聞くと赤いリンゴを頭に思い描くように、シジュウカラも「ヘビ」を示す鳴き声からヘビをイメージできるのです。私たちが会話の中で用いる様々な認知能力は、実は他の動物にも広く進化しているのかもしれません」とコメントしています。
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本研究成果は、2018年1月30日に米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)にオンライン掲載されました。
Journal
Proceedings of the National Academy of Sciences