脆弱X症候群(fragile X syndrome, FXS)は発症頻度が比較的高い遺伝性の精神発達障害であり、精神遅滞や自閉症様症状を示します。脆弱X症候群は、FMR1遺伝子の異常によって発症することが明らかにされており、その遺伝子の産物であるFMRP タンパク質が、他のタンパク質量を調節することが報告されています。正常なFMRPは大人の脳の神経細胞の正常な働きを助けていますが、胎児期の脳についての役割はほとんど明らかにされていませんでした。東北大学大学院医学系研究科発生発達神経科学分野の大隅典子教授らのグループは、胎児期の脳内における脆弱X症候群の原因となる新たな分子メカニズムの一端を明らかにしました。胎仔期のマウスの脳において、FMRPの標的分子を網羅的に同定した結果、Fmr1を欠くマウスでは胎仔期の脳でタンパク質の合成を制御するmTOR経路が異常に活性化されることが明らかになりました。本研究によって、脳の発生期における遺伝性発達障害研究の発展に貢献することが期待されます。
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本研究成果は、2020年12月16日午前1時(現地時間、日本時間12月16日午前10時)Molecular Brain誌(電子版)に掲載されました。
Journal
Molecular Brain