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ケシは進化の過程でいかにして疼痛作用を持つに至ったか

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

ケシのゲノムの解明により、いかに一連の遺伝子が融合して、鎮痛作用のある化合物を産生するようにさせたかが明らかになった。研究者らによれば、約780万年前にケシには注目すべきゲノム重複イベントが発生したという。新石器時代から人類は、アヘンを含有するケシ(Papaver somniferum L.)を採取して、モルヒネやコデインなど様々なアルカロイドを、鎮痛や鎮咳の目的から、それらがもたらす陶酔感や眠気、嗜癖の作用を目的に利用してきた。今回、ケシのゲノムの配列決定により、ケシがいかにしてこれらの化合物を産生するようになったのかが明らかになった。Li Guoらは、P.somniferum L.のゲノムのほぼ95%を構築し、遺伝情報のかなりの部分が反復要素から成っていることが分かった。その中でも特に、長末端反復レトロトランスポゾン(ウイルスと同様の仕方で複製されるDNA断片)が多くを占めていたことが顕著であった。著者らがケシのゲノムと他の植物(キンポウゲ科オダマキ属のAquilegia coeruleaとハス[Nelumbo nucifera]など)のゲノムを比較したところ、これらの植物はそれぞれおよそ1億1,000万年~1億2,500万年前にお互いから分化したことが分かった。系統分析を行った結果、全ゲノム重複イベントの65%が約780万年前に発生したことが示された。これらのデータから、全ゲノムが重複される直前に、特定の遺伝子クラスターが融合して、人類がそれ以来長い年月にわたって享受してきたモルヒネやコデインなどの化合物を最終的に産生するようになったことが明らかにされた。

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