George Churchを含む研究者らは、生きた細菌のゲノムを完全に書き換えるという目標に向けてさらなる進歩をもたらした。このような再コードされた生物が一たび得られれば、特殊アミノ酸ではなく有用なアミノ酸が組み込まれることで自然界にみられない機能を持つ場合がある。またそうなれば、製薬産業や他の産業においてウイルスに対して免疫のある細菌を増殖させることで、ウイルス汚染による何十億ドルという損失を節約することが可能になるであろう。さらに、研究者らによれば、そうした生物において変更された遺伝情報は、研究室外でのコードの限界のために、天然の細胞を汚染し得ることはなく、そうした生物の作成によって研究室で遺伝子操作により作成された生物が野生の生物を汚染するのを止めることが可能であろう。生きた生物のDNAでは、同じアミノ酸が複数のコドン(3つのヌクレオチドを文字とするDNAの「言葉」)によってコードされ得る。今回、大腸菌において遺伝的に同等の「探して置き換える」手法を用いて、1つのコドンを別のコドンで置き換えることが可能であることを示した以前の研究に基づいて、今回Nili Ostrov、Churchらは、ゲノム全体で複数のコドンを置き換えることが実行可能であるかを探索した。研究者らは、7つのコドンのインスタンスを60,000以上除去することで、大腸菌のコードにおけるコドン数を64から57に減らす方法を試みた。彼らは、これら7つのコドンの62,214の全インスタンスを系統的に別のコドンで置き換えた。研究者らによれば、7つのコドンのすべてのインスタンスのうち63%が置き換えられ、基礎にあるアミノ酸の変更により影響を受けた遺伝子のほとんどが正常に発現された。著者らは、57のコドンが完全に機能する大腸菌を得ることは達成できなかったが、「この規模で機能的に変更されたゲノムが探索されたことはこれまでにない」と書いている。この結果は、ゲノム書き換えの領域における次なるステップ、すなわち完全に再コードされた生物についての極めて重要な洞察を提供している。
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