200を超える研究 ―― 合わせると全ての主要生物群系に相当する ―― から得た生物多様性データを新たに世界規模で解析した結果によると、地域的な種の生物多様性 ―― 生物多様性による貢献が感じられる規模の ―― は急速に再編成が進んでいるという。Brita ErikssonとHelmut Hillebrandは関係するPerspectiveで、歴史的に「地域の生態系という観点から生物多様性の世界的動向の兆しを見いだすことは驚くほど難しく、様々な論争を呼んできた」ことから、この研究結果は重要だと書いている。生物多様性の変化は海、とりわけ熱帯の海の生物群系が最も大きく多様で、熱帯海洋は種の豊かさが喪失するホットスポットとなっている。これらの研究結果は保存の優先順位を知る際に役立つと思われる。気候変動とその他の人間活動の影響が世界規模で前例のない生物多様性の変化を引き起こしていることはまず間違いないが、地域の生態系という観点から種の世界的な減少傾向を把握するのは困難で、様々な論争も招いてきた。地球規模での生物多様性の予測については見解が一致しないことが多く、地域レベルで極めて多様な傾向が見られることから、現在の生物多様性の変化の根本には地理的な要因がある可能性が示唆されている。Shane Blowesらは生物多様性の変化の地理的な差異を調査すべく、地域生物多様性時系列データではこれまでで最大のデータ群であるBioTIMEデータベースを用いて、世界の海・陸・淡水域全域の生物多様性の豊かさと構成の動向を地図で示した。Blowesらの分析では、世界的な種の喪失についての全体的な傾向は確認できなかったが、地域の種の群れの構成が地球規模で急速に再編されつつあることが示された。この再構築は生態系機能に深刻な結果をもたらす可能性もある。今回の研究結果によって、生物多様性の喪失についての私たちの知識は ―― また、その変化を阻止しようという取り組みも ―― 状況と場所を前提とする必要があることが示されたとBlowesらは述べている。「したがって、生物多様性の世界的危機とは少なくとも現在のところ、主に多様性の減少に関するのではなく、大規模な再編成に関するものだとBlowesらは強調している」とErikssonとHillebrandは書いている。
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