News Release

血管内皮細胞の安定化は脳血管性認知症の治療に有用

Reversal of endothelial dysfunction reduces white matter vulnerability in cerebral small vessel disease in rats

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

研究者らは、脳小血管病(SVD)のラットモデルにおいて、機能不全をきたした血管内皮細胞を承認済みの薬物を用いて安定化させることで、細胞の機能不全を回復させることを発見し、脳血管性認知症の治療における薬物療法の可能性が示唆された。世界的に平均余命が上昇して社会の高齢化が進むにつれて、記憶や認知能力の低下を特徴とする症候群である認知症が、科学者や介護者にとって中心的な懸念となってきた。高齢者における脳血管性認知症の原因として最も多いのはSVDである。SVDは、脳内の小血管が白質組織を栄養することが出来なくなった時に発生する。SVDはまた、アルツハイマー病の症状の原因ともなり、脳卒中のリスクを3倍に高め、高齢者における認知機能障害の主要な原因となっている。しかし、この病態に対する信頼できる治療は存在せず、血管の変化の基礎にあるメカニズムの解明が不十分であることがその一因となっている。今回Rikesh Rajaniらは、望ましくない物質の脳内への侵入を予防する助けとなっている内皮細胞(EC)の役割に焦点を当てた。著者らは、SVD患者の脳を検討して機能不全のECが存在することを見出し、この機能不全の原因と考えられる変異を発見した。さらなる分析により、これらのECは、脳内に存在する個々の結合組織細胞の適切な機能を妨げるHSP90aと呼ばれる蛋白質を分泌していることが明らかになった。シンバスタチン(コレステロール降下薬)など、ECを安定化させる承認済み薬物により、SVDのラットモデルにおいて7週間の投与後に異常が回復した。著者らは、今後の研究において、ECの機能不全をSVDの後期段階でも回復できるのかを評価、また今回の所見を他の動物モデルで検証すべきであると述べている。

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