地球の酸素(O2)に富む大気は、生命が惑星環境に多大な影響を及ぼしていることを表す最も顕著な例となっています。しかしながら、このような環境が今後どれくらいの期間にわたって維持されるのかという問題はこれまで定量的に評価されていませんでした。研究チームは、地質学的時間スケールで大気中の酸素量を規定するプロセスを包括的に考慮した数値モデルを開発し、未来の地球環境変化を予測するための数値実験を行いました。 その結果、太陽光度の増大によって引き起こされる温暖化と大気中二酸化炭素濃度の低下によって生命圏の一次生産が低下することで、徐々に貧酸素化が進行することが分かりました。とくに、約10億年後を境に急速に酸素の乏しい状態へ遷移すると予測され、これ以降は酸素呼吸を行う多細胞生物の生存は困難になると考えられます。
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本研究成果は、現在のような酸素に富んだ地球環境が永続的に続くものではないことを初めて定量的に明らかにしたものであり、太陽系外の生命探査計画にも影響を与える重要な成果です。 本研究成果は、Nature Geoscience誌の電子版に3月2日に掲載されました。
Journal
Nature Geoscience