News Release

祖先の遺骸を研究する時は敬意をもって倫理的に行う必要がある

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

このPolicy ForumでJessica Bardillらは、科学者らに対して、古代人の遺骸を研究する時には現地の住民に相談することの必要性を強調している。そこで指摘しているのは、古代ゲノム学(paleogenomics)が現代の人々に対して、過去に関するますます多くの貴重な洞察を提供している一方で、そうした学問の倫理的な原則や実践が追いついていない、ということである。古代ゲノム学研究の結果は、例えば協定、送還、土地やその他の事柄に関する現地の共同体の主張を台無しにしたり紛糾させたりすることで、現地の住民に大きな影響を及ぼし得る。古代ゲノム学の結果に基づく「物語」は、現地の共同体に言い伝えられた物語を誤解させたり、それとは矛盾する内容を示したりすることもあり、現地の共同体や個人のアイデンティティを傷つける可能性がある。にもかかわらず、著者らの指摘によれば、研究者にとって古代ゲノム学研究を行う上で倫理的に最善のやり方を決める助けになるような、法的枠組みや倫理的指針はほとんどない。米国では法律的に、生きている個人のみが「人間(human subject)」と見なされるのに対し、古代人の遺骸は法的にも科学的にも「人工物(artifact)」と呼ばれる。Bardillらは、祖先の遺跡を「人工物」と見なすのではなく、研究の際に敬意を払うべき「遺族(human relatives)」と見なすことを勧めている。 著者らによれば、すでに死んだ者たちは研究への同意を与えることはできないため、現存する現地の共同体に相談すべきである。著者らは、カナダでの自分たちの経験の一部を述べているが、その際に倫理的かつ双方にとって有益な古代ゲノム学研究となるよう、分析のためのサンプルを古代人の遺骸から採取する前に、研究者らと現地の共同体が想定することの概要を示した取り決めを交わしたという。著者らは、研究者が古代ゲノム学研究に取り組む際に考慮すべき、指針となる7つの質問を提案しており、併せて現地の共同体の協力と現地研究者の能力構築によって、最終的により堅実な倫理的研究が生み出されると指摘している。

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Note: This paper will be available for free when the embargo lifts at http://www.sciencemag.org.


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