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痛みを誘発するドクハキコブラの毒は防御のために進化した

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

これまでの研究ではヘビの毒の相違は主に食べ物の違いによるとされているが、3系統の「ドクハキコブラ」についての新たな分析で、別のメカニズム ―― 防御の必要性 ―― がこれらの痛みを誘発する毒独自の特徴の進化ドライバーとして指摘された。「ドクハキコブラによって、類似する選択圧が分子・形態・行動・機能レベルで収斂進化を促す仕組みが明らかになった」と著者らは言う。大多数のヘビは、餌食を動けなくしたり、瞬時に殺したりといったように、主に捕食目的で毒を使う。対照的に、コブラにおける「毒噴射」の進化は餌の捕獲とは関係がない。むしろその毒は、特定の感覚組織を標的としており、ほぼ4,000種のヘビの間では唯一の離れた場所から敵を傷つける防御適応である。意外にもコブラ科(Elapidae)の3系統の毒ヘビは、防御の手段として、危険を察知するとその敵の目をめがけて数メートル先まで毒を「噴射」し、敵に痛みを引き起こす能力を個々に進化させてきた。数少ないこれらのドクハキヘビは、似ているけれども珍しいこの防御特性が繰り返し進化してきた根底にある選択的ドライバーを調査するには最適の系統である。Taline Kazandjianらはトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析、機能分析を活用して、これら3系統のドクハキコブラにおける防御的な毒噴射の進化を調査した。各系統の毒はそれぞれ独自の成分でできているが、どのドクハキコブラの毒も毒を噴射しない毒ヘビと比べてより効率的に痛みを引き起こすことをKazandjianらは発見した。彼らによると、これらの系統では類似する分子適応が起きたという。既存の細胞毒の作用を強化することで敵の哺乳類の感覚神経を活性化して即座に痛みを感じさせ、敵を抑止するのである。これはこれらヘビ系統の毒の進化ドライバーとして防御が果たす役割を示していると、彼らは述べている。

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