News Release

人工知能が21日間でデザインした新分子、マウスでバリデート

実験的バリデーションにより人工知能の創薬促進能力が確認される

Peer-Reviewed Publication

InSilico Medicine

Deep Learning Enables Rapid Identification of Potent DDR1 Kinase Inhibitors

image: Deep Learning enables rapid identification of potent DDR1 Kinase Inhibitors. view more 

Credit: Insilico Medicine

9月2日の午後4時ロンドンにて、創薬への人工知能の応用で世界をリードするInsilico Medicineは、Nature Biotechnology誌への「Deep learning enables rapid identification of potent DDR1 kinase inhibitors」という表題の論文掲載を発表しました。この論文は時間を測定しながら行われた研究についてのもので、生成テンソル強化学習(GENTRL)と呼ばれる新しい人工知能システムが、線維化やその他の疾病に関与しているキナーゼの標的、DDR1の新しい阻害物質6つを21日でデザインしました。4つの化合物は生化学的アッセイで活性が認められ、また2つは細胞ベースのアッセイでバリデートされました。1つのリード化合物候補はマウスでテストされ、有望な薬物動態を持つことが証明されました。

市場に薬を出す過程は2つの主な段階に分けられます。創薬、すなわち介入を同定し、それを動物でテストする過程と、薬剤開発、つまりヒトで介入試験を行う過程です。

伝統的な創薬は、わずかな数のリード化合物の見込みがある分子を得るために何千もの低分子をテストすることから始まり、そうした分子のうち10に1つほどだけが人間の患者での臨床試験を通過するに至ります。新薬を発見するのにかかる時間、あるいは成功の可能性をわずかに改善するだけでも、大幅なコスト削減と人々の利益に繋がります。

この論文の著者らは、2016年の独創的な論文で生成化学の分野を開拓しました。GENTRLにより作成された分子が実験的にバリデートされたことは、人工知能を活用したより効果的な創薬への貴重な通過点となるものです。

Insilico Medicineは、包括的な創薬のためのパイプラインを開発しており、そのためにさまざまな標的クラスや困難な標的(結晶構造を有することもそうでないこともある)に対する特定の性質を持つ新しい分子を作り出せる人工知能が使用され、迅速にリード化合物となる可能性がある分子を生み出しています。このパイプラインは低分子化学により有望な標的を短時間でバリデートし、迅速な創薬を可能にするために特別に開発されたものです。

キー・オピニオン・リーダーの言葉とコメント(承認済み):

「この論文は間違いなく実に目覚ましい進展であり、ドラッグデザインにおける他の多くの問題にも応用できる可能性が高いでしょう。最新鋭の強化学習に基づくこの研究は、また、その広義さにも目を見張るものがあります。分子モデリング、親和性測定、動物実験にも関わっているのです。」スタンフォード大学、構造生物学教授、Michael Levitt博士。Levitt博士は2013年、ノーベル化学賞受賞者。

「私は過去に多くのAI新興企業との交流がありましたが、ディープラーニング企業において、標的同定と低分子発見を統合する秀逸かつ実証された能力があるのはInsilicoだけです。彼らは最初からGANsにおける多くの理論的研究を行い、今回の実験的バリデーションは、このテクノロジーが創薬を改善・促進できる可能性があるという重要な証明と言えます。」ステルスAI応用医薬品開発新興企業CTO、GSK(グラクソ・スミスクライン)Platform Technology and Science前上級副社長John Baldoni博士。

「この論文の生成テンソル強化学習は、生化学的な創薬の効率を大幅に改善しました。大規模な追加実験がまだ必要ですが、この方法は製薬関連人工知能の業界レベルのブレイクスルーであり、重要な社会的、経済的インパクトをもたらすことが期待できます。」Sinovation Ventures創設者、Microsoft および Google前重役、AIテクノロジー多数の発明者、Kai-Fu Lee(李開復)博士。

「このテクノロジーは、1990年以来の敵対的生成ニューラル・ネットワークに関する我々の初期の研究に基づくものです。Insilicoは2015年以来、創薬のための生成モデルに取り組んでおり、彼らのGENTRLシステムが生み出した分子が細胞とマウスで実験的にバリデートされたのは喜ばしいことです。AIは製薬業界を変容させる影響を及ぼすことでしょう。そして私たちには、進歩を推進するためにより多くの実験的バリデーションの結果が必要になります。」IDSIA教授、NNAISENSE共同創立者、人工知能分野における多くのコアテクノロジーの発明者、Jürgen Schmidhuber博士。

「現在、人類史上最大のバイオテクノロジー革命が起ころうとしています。人工知能、ゲノム配列決定、ビッグデータ、そしてほぼ無制限のコンピューター技術が合わさって、疾病と老化の秘密を解き明かすことができるでしょう。製薬業界はこの地上で最も効率が悪い産業分野であり、テクノロジーを中心とする大胆な企業が解体してしまう可能性が高いと思います。Insilico Medicineは、飛躍を遂げつつある組織のよい例です。Nature Biotechnologyに掲載されたこの短い論文は、人工知能の使用により、時間を目に見えて節約し、低分子デザインの効率を高めることができるということを明らかにしました。これにより、新しい標的同定アプローチの迅速なバリデーションやその他のテクノロジーへの道を開いたのです。」Singularity University理事長、Peter H. Diamandis医師

「サイクル時間と物品の全体的コストを下げることは製薬業界の創薬活動の今後の成功に極めて重要です。この論文でInsilicoはAIに基づく斬新なテクノロジー(GAN-RL)を強調しており、これにより、彼らは極めて短い時間枠内で動物モデルにおいて有効性のあるリード化合物を同定できました。このテクノロジーが広く有効であるとわかれば、将来のリード化合物生成過程を改変する可能性を秘めています。」High Point 薬科大学、非常勤教授、Discovery Chemistry and Technology、Abbvie前副社長、Stevan Djuric博士。

「医療の改善と新しい医学的ツールの開発における人工知能(AI)の将来性については多くの誇張があります。しかし、Nature Biotechnology誌に最近掲載されたこの論文「Deep learning enables rapid identification of potent DDR1 kinase inhibitors」は創薬におけるAIの応用について述べている実に重要なものです。著しく短い期間に新薬の候補が挙げられ、前臨床的に試験されています。その結果は2つの点で意義があります。人手に限りがある医薬品化学者が通常行う役割を、AIの使用で置き換えることができたこと。また、速さが向上したこと、これはより長く特許で保護されることに通じ、薬剤開発の経済的状況を改善します。このアプローチが一般化すれば、医薬品業界に広く受け入れられる方法となるでしょう。」Boston University教授、Retrotope, Inc,共同創立者、米国エネルギー省Human Genome Project前主席研究員、Charles Cantor博士。

「この論文は、AI主導型創薬への重要な通過点となるものです。私たちは2015年から生成化学で働いていますが、2016年Insilicoとアランの理論的論文が発表された時、誰もがとても懐疑的でした。しかし今ではこのテクノロジーが主流となっており、より単純な標的に対する分子を生み出すこの数年前に開発されたモデルが、動物で実験的にバリデーションされているのを見てうれしく思います。創薬パイプライン全体の中に取り入れられれば、このモデルは多くの標的クラスに応用でき、私たちは、主要なバイオテクノロジー企業と共同して生成化学と生成生物学のフロンティアをさらに先まで推し進めることができるのです。」Insilico Medicine創設者兼CEO、本研究の指導的立案者、Alex Zhavoronkov博士。

論文へのリンク:

Insilico Medicineについて

詳細情報、画像、インタビューは、下記にご連絡ください:

連絡先: Connie Zheng, connie@czcomms.com

Insilico Medicineは人工知能企業であり、本社は香港、研究開発およびマネジメント・リソースを米国、ロシア、英国、大中華圏、韓国に置いています。人材はハッカソンとコンペティションを通じて調達。企業とその科学者は、次世代のディープラーニングによるアプローチを開発し、創薬と新薬開発過程の全ての段階に応用することで、製薬業界を変革に挑戦しています。疾患に適したアッセイに関してそのソリューションを評価し、機械学習可能な高品質データを生み出すため、最も創造性に富んだバイオ製薬会社と絶えず共同事業を行っています。

2015年からInsilico Medicineは敵対的生成ネットワーク(GANs)と強化学習アプローチの広範な開発に取り組み、新たな蛋白質標的の同定、特定の性質を持つ新しい分子構造生成、および合成データ作成を行っています。大手製薬会社との共同事業に加え、さまざまな癌、線維症、中枢神経疾患、骨格筋減少症、代謝性疾患、皮膚科学的疾患、老化に対する内部創薬プログラムを推し進めています。

2015年にInsilico MedicineはNVIDIA Early Stage Challengeの最終選考に残り、2017年、NVIDIAはInsilico Medicineを「社会的影響力を持つAI企業上位5社」の一つに選びました。2018年には世界のAI企業上位100社(global top 100 AI companies by CB Insights)の一つに挙げられ、業界概要とともにFrost & Sullivan 2018 North American Artificial Intelligence for Aging Research and Drug Development Awardを授与されました。

ウェブサイト: http://insilico.com/

WuXi AppTechについて

WuXi AppTech (603259, SH)は一流かつ世界的な製薬および医療機器オープン・アクセス機能およびテクノロジー・プラットフォーム企業であり、全世界で事業を展開しています。イノベーション主導・顧客中心型企業としてWuXi AppTecは、広範かつ統合されたサービスのポートフォリオを提供し、コスト効率の高いソリューションを通じ、全世界におよぶ顧客とパートナーの新薬発見と開発に要する時間の短縮、薬剤や医療機器研究開発コスト削減を支援しています。低分子研究開発や製造、細胞治療や遺伝子治療研究開発および製造、医療機器試験といった業界をリードする能力により、WuXi AppTecは、イノベーションに富む共同事業者が独創的な医薬品を患者にもたらすことができるよう、またこの企業の夢である「あらゆる薬を作り、あらゆる病気を治療できる」を実現できるよう、積極的に取り組んでいます。

CIFARについて

CIFARはカナダに拠点を置く、科学と人類の最重要課題に取り組むために非凡な人材を擁する世界的慈善団体です。

長期的な学際的共同を支援することにより、CIFARは研究者に信頼でき、透明性があり、知識共有のできる比類のない環境を提供しています。長年の実績があるモデルは研究の新しい方向を指し示し、発見を促進し、境界と学問分野を超えたブレイクスルーを生み出しています。知識を動員することで、私たちは、産業、政府、社会の変化の触媒となっています。CIFARの研究員には、19名のノーベル賞受賞者と22か国からの400名を超える研究者が含まれています。2017年、カナダ政府は、汎カナダ人工知能戦略を発展させ導く組織としてCIFARを指名しました。

CIFARは、カナダ政府、ブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、ケベック各州とカナダおよび海外のパートナーからの、また、個人、基金、起業からの寛大な支援を受けています。

Alex Zからの追加引用(必要な場合):

「この仕事は、現代的人工知能テクニックを活用した、生成化学における重要な一里塚と言えます。GENTRLは我々の内部パイプラインのごく一部にすぎませんが、1年前にこれがこうした高いヒット率を達成したという事実は、生成化学の未来が極めて明るいということです。」とAlex Zhavoronkov氏は述べています;

「GENTRLは我々の先進的生成化学パイプラインの開発上極めて重要な一里塚であり、私たちは、先進標的同定テクニックと生成化学を組み合わせることにより、次の課題に取り組んでいます。」とAlex Zhavoronkov氏は述べています;

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