News Release

「海の熱波」によって生態系が劇的に変化している

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究の報告によると、オーストラリア西海岸沖の急激な海水温暖化によって、広大なケルプの森が熱帯や亜熱帯性の海洋生態系に変わったという。この研究結果から、短期間に劇的な変化が起こり、海水温上昇のせいでケルプの森が963平方キロメートル消失したことが判明した。1970年代以降、オーストラリアの中西部海岸沿いのケルプの森では、絶えず海水温が上昇しており、ここ数年の間に過去215年でもっとも暖かい夏を3回記録した。こうした海水温上昇がこの海域の生態系に与えた影響をさらに理解するため、Thomas Wernbergらは2001~2015年(この期間にこの海域では異常な海水温上昇が見られた)にかけて65の礁に対して、ケルプの森・海藻・魚・移動性無脊椎動物・サンゴについての調査を行った。2010年12月の異常な海水温上昇以前は、ケルプの森は中西部の浅い岩礁の70%以上を覆っていたが、2年後にはそのケルプの森の43%が消失したことが、調査データから明らかになった。南緯29度より北側では影響が深刻で、以前はうっそうと茂っていたケルプの森が姿を消し、面積が90%以上も減少した。海水温上昇から5年たっても、ケルプの森に回復の兆しは見られない。その一方で、芝生状の海藻が劇的に増え、亜熱帯や熱帯水域特有の種に大きな変化が見られたという。たとえば、藻類をこそぎ取って食べる魚(サンゴ礁に特有のグループである)の生物量が400%も増えたことがわかった。

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