光遺伝学で神経活動を操作するための非侵襲的な方法 A Non-Invasive Way to Manipulate Neural Activity With Optogenetics 新しい光遺伝学技術では、侵襲的な光ファイバーを用いるのではなく、頭蓋骨に外部から光を当てることで、深部脳神経刺激や阻害が行える。マウスで試されたこの技術は、いつの日か、ヒトの現行の深部脳刺激法と神経障害の治療法を補完するまたは拡張する可能性がある。近年、科学者は、光に反応して活性化または阻害されるよう操作したニューロンを研究することで大きな恩恵を受けている。これは、脳機能の根底にある機構と疾患に関する貴重な見識が得られる光遺伝学と呼ばれる分野である。しかし、ニューロンの活性化や阻害に使用されている光の青緑波長は、脳内で照射した時に散乱しやすい。すなわち、これらの光は、操作する必要のある領域に非常に近いところまで延長できる、侵襲性のプローブを用いて送達する必要がある。今回、Shuo Chenらは、特別なナノ粒子(この場合はランタニドドープ・アップコンバージョンナノ粒子(UCNP))を、望ましい脳領域に送達し、その後、脳を容易に通り抜ける近赤外光を頭蓋骨の外部から当てる、非侵襲性の技術を開発した。このナノ粒子は赤外光と相互作用して、神経刺激に必要な青緑波長に変化させる。ChenらがUCNPをマウスの脳に注射したところ、この粒子が注射した領域に局在したままであることが電子顕微鏡により明らかになった。特定の条件下で動きを止めるよう条件付けたマウスでは、新しい光遺伝学技術を適用することで、マウスの動きを止める行動を十分に阻止できたことが報告された。Neus Feliuらが、関連したPerspectiveでこの進歩を取りあげる。
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